6月3日より劇場公開される、阪本順治脚本・監督、伊藤健太郎主演の映画「冬薔薇（ふゆそうび）」から、伊藤健太郎のインタビューとメイキングをおさめた特別映像が公開された。
阪本組の撮影現場を「いろいろと細かく指導してくださるので、すごくおもしろい」と語る伊藤。阪本順治監督が伊藤との話し合いをへて当て書きした渡口淳というキャラクターについては、「10代の時の自分とかぶるので、淳の気持ちがすごくわかる。生きてきた環境は全然違うんですけど、気持ちの部分としては、すごく理解できる部分、寄り添える部分が多いなと思います」と役作りへの自信をのぞかせている。そして、「泥臭くお芝居を続けていきたい。失うものは何もない」「今回の現場はスタッフさんもそうですけど、大御所の方や以前お仕事させていただいた方々がたくさんいらっしゃるので、今の自分をよくなったなと思ってもらえるように頑張っていきたい」と意気込みを語っている。
淳の父親・義一を演じた小林薫については、「（芝居が）すごく胸に刺さって心に響く。こんな味を出せる役者さんに自分もいつかなれたらいいなと、間近で勉強させてもらいました」と語り、カメラのまわっていないところでもたくさん会話をしたという淳の母親・道子を演じた余貴美子については、「すごく優しくて、本当にお母さんとお父さんという感じだった」と、共演を振り返っている。
冬に咲く薔薇と書いて、“ふゆそうび”と読むタイトルのイメージを、「孤独」でまさに淳のようだと語る伊藤は、「孤独の中でどこかに自分の居場所を探すようなタイトル」と撮影前は感じていたと明かす。しかし、撮影後にはそのイメージが少し変わり、「最初は本当に“孤独”と思ってたんですけど、周りには意外と手を差し伸べてくれる人たちがいる。淳が気づけていないだけで、実はそこまで孤独じゃないんじゃないか。僕自身もそのことに気づかされました」と、感慨深げな姿を見せている。
「冬薔薇」は、阪本順治監督によるオリジナル脚本で、人間の業を描く映画。ある港町で、専門学校にも行かず、不良仲間とつるみ、友人や女から金をせびってはダラダラと生きる渡口淳（伊藤健太郎）は、“ロクデナシ”という言葉がよく似合う中途半端な男。両親は埋立て用の土砂を船で運ぶ海運業を営むが、時代とともに仕事も減り、後継者不足に頭を悩ませながらもなんとか日々をやり過ごしていた。淳はそんな両親の仕事に興味も示さず、親子の会話もほとんどない。そんな折、淳の仲間が何者かに襲われる事件が起きる。そこに浮かび上がった犯人像は思いも寄らないものだった。
【作品情報】
冬薔薇（ふゆそうび）
2022年6月3日（金）、新宿ピカデリーほか全国公開
配給：キノフィルムズ
©2022「冬薔薇（ふゆそうび）」FILM PARTNERS
