犬や猫にマイクロチップ義務化、業者や飼い主の対応は 改正動物愛護管理法が施行、福井の獣医師「ペットの負担少ない」

マイクロチップ埋め込みのイメージ
犬猫のマイクロチップ装着義務化
繁殖・販売業者に犬猫への装着が義務づけられたマイクロチップ(中央)=福井県坂井市の高木動物病院

 改正動物愛護管理法が6月1日施行され、犬や猫に所有者情報などが分かるマイクロチップを装着することがペットの繁殖・販売業者に義務づけられた。福井県内では業者を通じた犬猫の販売・引き渡しが2020年度に約2700頭あり、迷子になったり、捨てられたり、災害ではぐれたりした際に飼い主を特定しやすくなり、安易な遺棄の抑止も期待される。県獣医師会は「法改正を知らない飼い主も多い」とし、動物病院などを通じて周知に力を入れている。

 チップは直径1.5ミリ、長さ1センチほどの円筒形。獣医師が専用の注入器で首の後ろ辺りに埋め込む。費用は数千円~1万円ほど。県獣医師会の高木平光会長(68)は「一般的な皮下注射とそれほど変わらず、犬猫の負担はほとんどない」と説明する。

⇒【写真】犬猫への装着が義務づけられたマイクロチップ

 15桁の識別番号が記録されており、自治体などが専用の読み取り機をかざすと番号が表示され、データベースに登録された情報をたどれる。登録情報は、▽所有者名▽住所▽電話番号▽識別番号▽メールアドレス▽犬猫の名前▽品種▽毛色▽性別―など。環境省動物愛護管理室の担当者は「飼い主の管理意識の向上が期待でき、安易に犬猫を捨てることの抑止にもつながる」と意義を強調する。

 知人などからチップ装着済みの犬猫を譲り受けたり、新たに購入したりした場合、所有者情報を30日以内に変更する義務がある。手続きはオンライン(手数料300円)でもできる。チップを装着していない犬猫を譲り受けた場合や既に飼っている場合は努力義務。近年は民間団体によるチップ登録制度も進んでおり、県獣医師会は「飼い主の抵抗感はそれほどないのではないか」とみている。

 13歳の犬を飼っている大野市の40代男性は「愛犬は雷がなるとパニックになって、外に飛び出すことがある。迷子にならないようにチップの活用を考えたい」と話す。

 県医薬食品・衛生課によると、県動物愛護センターで21年度、引き取りや保護で犬猫計704匹を収容した。このうち4匹にチップが装着されており、3匹は早期に飼い主のもとへ戻ったが、1匹は情報が登録されていなかった。

 同課の担当者は「首輪に付ける鑑札や迷子札は外れることもあるが、チップは半永久的に取れない。既に飼っている人にも装着をお願いしたい」とした上で、「装着だけでなく、情報の登録、変更を必ず行ってほしい」と呼び掛けている。

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