現在のプロ野球の「応援スタイル」を生み出し、カープファンにとって「聖地」でもありましたが、解体作業が始まりました。
「ああ…ライトスタンドは今こういう状態に…。しばらく放置していたんで草が一面に生えていましたが取り除かれました。きれいにしたようです。今週のはじめから始まった撤去作業なんですが、座面も3分の2以上のシートが取り除かれています」(小林康秀キャスター)
旧広島市民球場のライトスタンドは、ファンから保存を望む声もあったことから、球場が解体された後も残されていました。
保存を要望した一人、広島カープ私設応援団連盟の前の会長 新藤 邦憲さんです。
「いろんな思い出がよぎりだしたね。感極まるけど、一番やっぱり応援団が陣取っていた、イベントとかいろいろやりましたけど、アピール活動とか、そこがそのままですからね、通路挟んで」(新藤さん)
旧市民球場は全国で初めての応援が作り出された場所でもありました。
「トランペットは1976年くらいからですけど、この少しこっちのセンターのポジションからですから」(新藤さん)
「スクワット応援が1980年代、ちょうどあの辺から始まったんですよ、あの端のから」
新藤さんたちは、「市民球場がここにあったという証を残してほしい」と、球場の保存を要望しました。その後ライトスタンドだけが切り取られる形で残されました。活用策の検討は紆余曲折ありましたが、広島市では球場跡地をイベント広場として整備するのに伴って、スタンドを解体し、36人分のベンチを、跡地の南側にある「勝鯉の森」に移設して活用することにしました。
「それはそれで1つの形が残るので、語り継げるのではないかと思いますがね」(新藤さん)
まずベンチが取り外されました。5人の作業員がボルトを外し、一枚一枚運び出して
行きました。
「徐々に徐々になんかちいと熱いものが感じるね。よみがえって来ましたね」
新藤さんは2008年に旧市民球場での最後の公式戦の日に掲げた球場への感謝の気持ちをつづった旗を見せてくれました。
「あの時の旧市民球場があって、いい思い出がいろいろあるのう…と言うような語り草になるような、そういう空気の場所になっていただきたいですね」(新藤さ
ん)
「長い間ありがとう本当、万感の思いじゃが、夢と感動をありがとう」
いい時も、悪い時も、カープを見守り続けたファンの聖地…。勝利の美酒と涙のしみ込んだライトスタンドは、2週間ほどで完全に姿を消します。