知って得する! NYで物件探しのコツをつかんで、いい住まいを早めに押さえよう!

ポストコロナの今、ニューヨークで生活をしていると、インフレの影響もあって物価の高騰を実感せざる得ないだろう。もちろん不動産の価格も上がり続けている。物件探しのコツをつかんで、いい住まいを早めに押さえよう!(取材・文 / 菅 礼子)


プロに聞く!

ポストコロナの物件はどう選ぶ?

新型コロナウイルスによって2020年3月に起こった世界的なパンデミックで、ニューヨーク市はホットスポットとなるほど大きな打撃を受けた。多くの人々がマンハッタンから流出し、企業はワークフロムホームに切り替えたことで一時はゴーストタウンのように静まり返った。ポストコロナの今、この街には徐々に人が戻ってきたようだ。パンデミックで同市を離れた人は完全にこの場所に戻ってはいないものの、新たに移り住んできた人も多い。

パンデミックによって急落した物件の価格は今年に入ってから急上昇し、パンデミック前以上の高騰を見せている。こうした時期にどうやっていい物件を見つければいいのだろう? 金融業界のキャリアを持ち、不動産好きが高じ、ニューヨークで不動産ブローカーとして高級物件を取り扱う、池上奈津子さんに話を聞いた。

NYの物件事情はコロナ前と比べてどう変わりましたか?

パンデミックが起こったのが20年3月で、6月末まではインパーソンで家を見せられませんでした。売買に関しては、皆が様子見といった感じで動きがなく、賃貸も7月までは市場価格の変動がありませんでした。その後、人が動き始めたのですが、ニューヨーク市は空き物件が増えて借りる人も減少。大家さんが家賃を下げて下げて一時期は1〜3カ月フリーレントなんて特典を付けたりして。とにかく20年7月から21年の春までは概算で15〜20%下がっていましたね。

やっぱりドカンと下がればその後ドカンと上がるんです。その後、徐々に上がり始め、今年に入ってから約25〜35%は上がったんじゃないでしょうか? ということはパンデミック前より高くなっているという状況ですね。

ポストコロナの物件上昇はどこまで続くのでしょうか?

売買に関しては、インフレの影響などもあり、予想がつかないですね。賃貸については、このところ家賃価格は上昇傾向にありますが、そろそろ落ち着くのではないかと思います。

NYで賢く家探しをするコツは何でしょうか?

賃貸も売買も競争が激しいので、家を探すと決めたら書類をそろえ、早めに準備をしておくことが重要です。そして気に入った物件を見つけたら早く行動すること。あとは、家探しを手伝ってくれるいい専門家を探すことがコツですね。賃貸ならいいエージェント、売買なら住宅ローンオフィサーや弁護士、エージェントなどを探す必要があります。マーケットに出たらその日に決めるぐらいのスピード感がないとニューヨークでいい家は見つけられないですよ。

賃貸と購入ではどちらがオススメですか?

私は断然購入をオススメします。日本と違い、ニューヨークの物件は、資産価値がどんどん上がっていきます。インフレの影響もあって、賃貸物件の家賃は上がりますが、持ち家ならトータルコストが変動しないこともオススメする理由の一つです。

また、会社員であれば家を買うことは節税対策にもつながります。その上、将来の資産形成にもなりますよね。住む、貸すに関わらず、5年以上所有すると決まっているのであれば、私は買うことを強くオススメしています。

家って、買おうと思った時が買い時です。私も物件価格が高いといわれた時期に2件家を購入しましたが、買わずにずっと家賃を払い続けているよりも断然トクしてますよ。私の周りで人生を楽しんでいる人も皆、不動産を持っています。行動できないと一生家は買えないので、まずは行動、思った時が買い時ですよ!

池上奈津子さん

ウィスコンシン大学卒業後、ロヨラ大学シカゴ校でMBA取得。
銀行、金融機関勤務を経て、2008年より不動産エージェントとして ニューヨークの物件を扱う。
16年にブローカー資格取得。
18年に 「COMPASS」入社。
日本語や英語での不動産セミナーも開催していた。
compass.com/agents/natsuko-ikegami

Buying or Renting? 双方のメリット、デメリットは?


Renting
賃 貸

アパートのオーナーに対して契約した家賃を毎月払うシステム。アパートの一世帯丸ごとを貸し切るタイプから、家賃の高いニューヨークではアパートの一室を借りるルームシェアのタイプもよく見られる。アパートの一世帯を借りて自らがリースホルダー(アパートの契約者)となり、ルームメートを入れることもできるが、その際は大家さんへの確認が必要になる。

Rentingのメリット

●すぐに引っ越しができる
フレキシブルさがあるため、現在住んでいる家が気に入らない場合、通常1〜2カ月前に退去を告げればいい。
●リペアやメンテナンスをする必要がない
水漏れやドアが閉まらないなど、古い家では発生しがちなリペアやメンテナンスは、大家が行うことが多い。
●初期費用を抑えられる
売買の際にかかってくる初期費用が抑えられる。通常、入居時にデポジットとして一カ月分を支払うことが多い。

Rentingのデメリット

●更新時の家賃の引き上げ
通常、1〜2年で更新があるが、その際に家賃が引き上げられる。個人オーナーなどの場合は交渉がしやすい。
●ランニングコストが高い
売買は頭金の準備などがもちろんあり、初期費用がかかるものの、長い目でみると賃貸の方がランニングコストが高くつく傾向にある。
●税制上の優遇措置を得られない
家を購入することで得られる、税金の優遇措置=減税が賃貸では受けられない。長い目でみると大きな差となる。


Buying
購 入

Buyingのメリット

●資産価値が上がる
日本と違い、物件の価値が上がるアメリカ。とりわけ、ニューヨーク(マンハッタン)は資産価値が上がっていく。
●家賃高騰の心配がない
更新時に家賃の引き上げがある賃貸に対し、マイホームとなってしまえばその心配は不要だ。
●税制上の優遇措置が得られる
住宅ローン利息控除、住宅ローン保険料控除、住宅売却益の非課税など、さまざまなメリットが得られる。

Buyingのデメリット

●フレキシビリティのなさ
家が気に入らなくなったり、気分転換にすぐ引っ越せたりする賃貸とは違い、流動性が低くなる。
●メンテナンスフィーがかかる
長く所有することで発生するメンテナンスフィーはオーナーがまかなうため、自ら負担しなければならない。
●購入手続きが煩雑
購入に関する書類や弁護士との契約など、賃貸に比べて圧倒的に書類の準備や踏むべきステップが多くなる。


不動産用語マメ知識

85階建ての 432 Park Aveの高層アパートは遠くからでも目立つ存在
Photo by 432 Park Ave

■タウンハウス
日本で言う「一軒家」のことを指す。庭付きのビルを丸ごと所有することができる

■コンドミニアム
日本でいう「分譲マンション」。個々の居住者が所有する独立したユニットを持つ物件

■コープ
あくまで所有者はオーナーで、購入後に家に住む権利を得ることができる物件

■ブローカーフィー
物件を紹介してくれた不動産ブローカーに支払う費用のこと

マンハッタンビューを見ることができるのはブルックリンの高層アパートの特権
Photo by 11 Hoyt

窓からは自由の女神が見えるというスペシャル感
Photo by 1 Wall Street


やっぱり頼りになる! 日系不動産

Relo Redac
アメリカ最大の日系不動産会社

スターツニューヨーク
日本でも信頼を得るスターツのニューヨーク不動産会社

NAMI New York
ニューヨークで最も愛される不動産屋を目指す

タイチ不動産
短期滞在者向け物件も充実

それぞれの魅力があるから面白い! ニューヨークのエリアマップ


Upper Eastside

マンハッタン随一の高級エリアで、古くからの資産家たちも好む。セントラルパークに近く、高級ブティック、美術館も多い。


Harlem

アフリカ系などをはじめ、食や文化が色濃い地区。ヒップホップ、ジャズやゴスペルクラブが多いので、音楽好きは注目したい。


Midtown

ブライアントパークやグランドセントラルなどがあるマンハッタンの中心地。どこへ行くにもアクセスが良く、日系のオフィスが多い。


Williamsburg

若者にも人気のブルックリンのヒップなショッピングエリア。ブルックリンの人気に火がついたエリアでもあり、レントも高騰中。


Dumbo

ブルックリンブリッジのたもとの地区。ダンボは「Down Under the Manhattan Bridge Overpass」の略。豪華なスカイラインが見れる。


Astoria

クイーンズの人気地区として知られる。落ち着いた雰囲気の街並みに、多国籍な料理が楽しめるレストランやバーも多い。


Hell’s Kitchen

ミッドタウンウェストに位置するヘルズキッチンはお洒落なレストランやバーが立ち並ぶが、マンハッタンの中では手頃だともいわれる。


Upper Westside

アッパーイーストサイドと並ぶ高級エリアで、緑豊かで落ち着いた雰囲気がある。リンカーンセンターなど、芸術へのアクセスも容易だ。


Soho

おしゃれな人々が行き交い、最先端のファッションや注目のレストランで食事を楽しめるエリア。石畳の景観も情緒がある。


Chelsea

ハイラインやチェルシーマーケット、多くのアートギャラリーがあり、新興のラグジュアリー高層アパートメントも多い人気の高級地区。


Financial District

ニューヨーク証券取引所のあるウォール街など、昼は活気があり、夜は落ち着いた雰囲気。シーポートも近くさまざまな楽しみ方ができる。


Tribeca

洗練された大人なレストランも多く、ブラウンストーンが立ち並ぶ人気の地区。昔ながらの街並みのアパートも高級で人気だ。


使える物件検索サイト

Street Easy

売買と賃貸の両方を探すことのできる、ニューヨークで使用されている有名なサイト。好みの物件を保存しておくと、似た物件が出た際に通知がくるのもうれしい。
streeteasy.com

Zillow

売買と賃貸の物件両方を取り扱う、大手不動産サイト。掲載物件は一億以上ともいわれていて、全米各地で広く使用されている。
zillow.com

Localize

人工知能技術を利用し、探している地区の犯罪率やトップクラスの学校、公園などのデータを割り出している。詐欺の検出機能もあり、安心して使用できる。
localize.city

© Trend Pot NY,LLC