育てたヒラメを食べるのか? 東京・足立区で「命と向き合う授業」

東京・足立区の小学校で子どもたちがヒラメの養殖を通して「いのちを考える」授業が行われました。クラス全員で大切に育ててきたヒラメを「食べるのか」それとも「食べないのか」、難問に向き合いました。子どもたちはどんな答えを出したのでしょうか。

足立区立弘道小学校の6年生の教室で6月2日、これまで自分たちで育ててきたヒラメの今後をどうするのか話し合う授業が行われました。この授業は養殖の体験を通して子どもたちに水産資源の大切さや海の問題に関心を持ってもらおうと、日本財団の「海と日本プロジェクト」の一環として行われています。始まりは2021年9月、当時5年生だった児童が養殖を始め、餌やりや水槽の掃除など、世話をする日々が続きました。

そして9カ月かけて育ててきたヒラメを食べるのか、食べないのか。この日の授業では子どもたちは自分に向き合い、1人ずつしっかりと今の考えを発表しました。「みんなで頑張って育てたから、ちゃんと食べてあげないとかわいそうだと思う」という意見もあれば「頑張って育ててきたから、海に戻してあげた方がいいと思う」といった意見もありました。NPO日本養殖振興会の斉藤浩一代表理事は「いろいろな命に支えられ、生かされているからこそ、私たちが生きている。だから食べるということは深く考えていかないといけない。それをこの授業からみんなに分かってもらいたい」とした上で「両方ともすごく大切な考え。食べる方も、ただ食べればいいわけではない。食べるためには感謝が必要」と話しました。

多数決の結果、ヒラメを食べることを決めた児童たちは"最後の餌やり”を行いました。餌やり中、ヒラメが水槽から飛び出して逃げ出すというハプニングもありましたが、授業を終えた児童たちは「育ててよかったと思う」「貴重な体験ができた。食べることに決まった以上、感謝して食べようと思います」などと話し、"命を育て、命をいただく”大切さに気付いたようです。

育てたヒラメは翌6月3日に調理され、児童たちが食べる"最後の授業”が行われます。

<食事への感謝 育てたヒラメから学ぶ>

このプロジェクトを行っている他の学校ではヒラメの全滅が相次ぎ、10匹全部が生き残ったのは弘道小学校だけだということです。講師を務める日本養殖振興会の斉藤浩一代表理事はかつてすし職人だったため、6月3日の授業では子どもたちの目の前でヒラメをさばきます。

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