里山歩きから「登山」へステップアップしたい!…挑戦する山を見極めるために必要なこと。歩きやすい山は?【ふくいのそと遊び】

手軽な里山歩きは楽しいですが、本格「登山」へのステップアップにも挑戦したくなるもの(写真は三床山の登山道)
標高2000メートルを超える北アルプスも憧れますよね(写真は立山)
文殊山山頂から見下ろす福井市内
湿原も楽しめる赤兎山(写真上)や白山が眺望できる絶好のテラスがある取立山は歩きやすく人気があります。

  梅雨入り前の晴れの好日がつづきますね。

 梅雨入り・梅雨明けをこえての7月~9月は山登りのハイシーズンです。

 このコラムを読んでくださっている方々のなかには、オススメの文殊山や三床山へと足を運んでくださった方もあるかと思います。里山のなかでも、特にこの2座のような標高200~300m台の低い山は、意外に気負いなく気軽にたのしめることは実感いただいていることでしょう。

 文殊山や三床山はもう何度も歩いてみた。気候もいいし、もう少し高い山に一歩すすんでみたい。でも今の自分が登れる山をどうやって見極めればよいのだろう・・・。今回はそんな方にむけて、里山歩きからステップアップ「登山」への一つ一つをみていきたいと思います。

 ①山の本を手に入れよう

 まずは登山ガイドの本の入手から。

 書店で購入するのもいいですし、おすまいの地区の図書館でさがしてみましょう。

 「趣味」「アウトドア」「スポーツ」で区分けされていることが多いです。登山関係の書籍をいざ探してみると、意外なほどに豊富なラインナップです。あこがれの北アルプスなんて本もいいですが、はじめの一冊はぜひ福井県の山の本を。書籍名からしてそのものズバリの「福井県の山(山と渓谷社)」がその代表格です。絵地図が豊富で地元密着の「登ってみねの福井の山(福井山歩会)」も根強い人気があります。

 ②登山地図を眺めてみましょう

 登山のガイド本には独特な地図が掲載されています。等高線とともに県境・登山口・登山道・水場・小屋(無人・有人)・コースタイム等の記載があり、一般的に「登山地図」とよびます。

 ③いつもの山の標高差をみてみしょう

 標高ではなく標高差です。文殊山でみてみましょう。大文殊の標高365m、二上登山口は標高20m。その差=標高差は345mです。つぎに冠山はどうでしょう。その名のとおり烏帽子のかたちをした独特の山容は福井市内から眺めてもよく分かります。標高は1257m、文殊山の3倍以上の高さです。ですが、標高差となると214m。文殊山二上コースの標高差よりも4割すくなくなります。なぜなら、林道を車ですすんだ先の登山口の標高が1043mと高いから。

 もちろん標高が高い山ならではの岩場があったり、標高差が少ないとの一点だけで「冠山は文殊山よりラクだ」なんていうことはできませんが「標高差」は挑戦するときの大きな目安のひとつになります。

④いつもの山のタイムを計ってみましょう

 何度か登ったことのある山でのご自身のタイムを計ってみましょう。

 文殊山二上コースを登山地図でみると「二上登山口→七曲:35分」「七曲→小文殊:15分」「小文殊→大文殊:20分」とあり、一般的なコースタイムが合計1時間10分であることがわかります(休憩時間は含みません)。

 ご自身のタイムとくらべてどうですか。ここで肝心なのは速い遅いをくらべることではありません。つぎに目指す山の計画をたてる判断基準にすることです。

・コースタイムとほぼ同じ⇒他の山のコースタイムが3時間であれば休憩をくわえて行動時間約4時間として計画。 ・1時間30分かかっている⇒コースタイムの3割増しの時間が必要(90分÷70分≒1.29)。コースタイム3時間の山であれば4時間+休憩時間で行動時間約5時間として計画。 ・コースタイムの7割ほどの50分⇒コースタイム3時間の山であれば2時間強、となりの山もあるいてみようか(縦走)。

 歩く時間・距離が長くなれば疲労も大きくなります。単純にコースタイムをみるのではなく、しっかり休憩時間を入れながら計画しましょう。ガイド本の体力度を目安にしたり、はげしい急坂やハシゴ場の有無もチェックします。

 遅くとも15時には下山完了。そこから順に逆算していきます。歩くのがゆっくりな方、山頂や気に入った場所でのんびり過ごしたい方は、その分早い時間に出発すればよいのです。

 福井県内では勝山市の赤兎山や取立山は標高1000メートル以上になりますが、ベテランはもちろん初心者にも登りやすいことから人気があります。

 山に勝った負けたはありません。大切なことは、どんなふうに、どれだけ、その山にたのしませてもらったか。

 たっぷりの水分、シャリバテしないように補給食をしっかり持って。ただでさえ暑いなかを登るのですから大量の汗をかきます。汗でぐっしょり濡れた身体に吹く風はここちよくもあり、身体の熱を奪いすぎて寒いことも。速乾性のある服で、暑い寒いに対応できるよう防風防水性ジャケットなども必携です(なので雨具=レインウェアはいつでも必要ですし本当に出番が多く便利です)。もちろん登山計画書の作成・届出は必須です。

 「無事に帰ってこそ登山」 どうぞ、くれぐれも安全に、今夏も山に楽しませてもらいましょう。

(登山用品店「遊山行」=福井市田原1丁目8-2 服部佐和子)

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