訪日外国人への規制緩和でインバウンドに期待、関連銘柄って何?

アフターコロナに向けて日本も大きく動いていますね。今回は訪日外国人に対する規制緩和と、その影響を受けそうな日本株についてお伝えします。


進む訪日外国人に対する規制緩和

岸田総理は5月5日(木)に英国の講演にて、新型コロナウイルスの水際対策を緩和する方針を表明しており、5月17日(火)から韓国からの渡航者に対して、入国時に行う検査で「陰性」であれば指定施設での3日間の待機が不要になりました。

また5月26日(木)に岸田総理は新型コロナの水際対策について、6月1日(水)から1日あたりの入国者の上限を、現在の1万人から2万人に引き上げ、6月10日(金)から観光目的の入国も2万人の枠内で受け入れる方針を打ち出しています。つまり、外国人観光客の受け入れを再開することが示されたわけです。

入国の対象となるのは、新型コロナ陽性率のよる区分けで、国や地域の感染状況や日本への流入リスクなどで最もリスクの低いとされているアメリカや韓国、イギリスなど、98の国と地域となっており、入国の際は検査や待機措置等は免除される見通しです。また感染予防の観点から、行動が管理しやすい団体ツアーに限るとしています。

インバウンド需要は復活するか?

これまで外国人の観光目的での入国は2020年4月から実質的に停止となっているため、約2年2カ月ぶりに海外の方々が観光で来日することになります。岸田総理は今後インバウンドに力を入れていく考えも強調していますが、インバウンド需要が日本経済にとってプラスとなってくれることを期待したいところです。

中国人観光客が大量買いをする「爆買い」が2015年のユーキャン新語・流行語大賞となったことで記憶している方もいると思いますが、訪日外国人による消費のことを「インバウンド需要」といいます。爆買いブームの2015年には、訪日外国人が1,973万7千人となり、訪日外客数と出国日本人数(1,621万2千人)が45 年ぶりに逆転しました。

その後日本を訪れた外国人旅行者の数は過去最高を更新し続け、2018年12月18日時点で初めて3,000万人を超えたと政府が発表、日本政府観光局のデータによると、訪日外国人はピーク時の2019年には約3,190万人となっています。

ただ、本来ですと、東京オリンピックが開催される2020年に4,000万人、2030年には6,000万人突破を政府は目指していたのですが、コロナ禍でその状況は一変したのはご存知の通りで、2021年に25万人弱にまで訪日外国人観光客は激減しました。

2022年に入って外国人観光客は街から消えたものの、その間に日米金利差拡大や資源高による日本の貿易赤字拡大などから円安が急速に進みました。インバウンドにとって円安は大きな追い風です。外国人観光客にとって、日本での買い物が割安に感じるバーゲンセールのような状況といえます。

インバウンド銘柄とは?

訪日外国人数に比例して人気となり、売り上げ増など経済効果考えられる銘柄のことを「インバウンド銘柄」と言います。インバウンド関連銘柄は2020年以降軟調で、コロナ禍の打撃を最も受けたテーマ株の一つといえますね。

どのようなビジネスがインバウンド関連かというと、まず交通。関連銘柄としては飛行機や鉄道関連で日本航空(9201)やANAホールディングス(9202)、JR各社などがあります。駅で買うお土産に強みのある寿スピリッツ(2222)や、帝国ホテル(9708)など宿泊するホテル、共立メンテナンス(9616)などの旅行会社もインバウンド銘柄です。

そしてお買い物先の百貨店や家電量販店、ドラッグストアなどもインバウンド関連といえます。高島屋(8233)や「GINZA SIX」を展開するJ.フロント リテイリング(3086)、三越伊勢丹ホールディングス(3099) 、関西で百貨店を展開するエイチ・ツー・オー リテイリング(8242)、ディスカウントショップ「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)などがあります。

そして海外、特に中国人観光客の方に人気だった化粧品メーカーも押さえておきましょう。資生堂(4911)、コーセー(4922)、北の達人コーポレーション(2930)など。ほかにも自動通訳機「ポケトーク」を手掛けるソースネクスト(4344)や、人気キャラ「キティちゃん」やテーマパークで人気のサンリオ(8136)などもインバウンド関連銘柄といえます。

インバウンド関連銘柄を物色してみるのも一考かもしれませんね。ぜひご自身でも、旅行の時に何を使うか・何をするかなど、想像しながら関連銘柄を調べて見てください。

5月30日週「相場の値動き」おさらい

先週はダウが8週連続の下落からようやく上昇に転換しましたね。そこから相場全体として流れが変わってきたようにも見えます。

FRBの金融引き締めのペースに対する懸念は根強く、雇用統計の前哨戦と言われるADP雇用統計では非農業部門雇用者数が12万8,000人増と前月、市場予想を大幅に下ぶれたことで懸念が和らいだものの、6月 3日(金)の米労働省が発表する雇用統計を受けての週末の米市場の動き、週明けの日経平均の動きをしっかりとチェックしておきたいですね。

6月 3日(金)の日経平均株価は前日比347円69銭高の2万7,761円57銭、5月 27日(金)は前日比2万6,781円68銭でしたので週間では979円89銭の上昇でした。

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