2023年5月閉鎖「西洋館」 長崎電気軌道、売却含め検討 路面電車軌道は維持

来年5月の閉鎖が決定した長崎西洋館=長崎市川口町

 長崎電気軌道(長崎市)は3日、2023年5月末で閉鎖する複合商業施設「長崎西洋館」(同市川口町)の土地建物について「売却も含めて検討する」と明らかにした。建物内を通過する路面電車の軌道変更の予定はなく、建物の取り壊しや改装をする場合、「電車の安全運行維持が前提となる」との認識を示した。
 同館は長崎電気軌道のグループ会社が運営する地上3階地下2階のビル。飲食店や雑貨店などが入居している。長崎電気軌道によると、1990年11月の開業以降、来館者数は年間200万人程度で推移していたが、2000年代に同市内に競合する大型商業施設が相次いで開業し、同館の客足は減少。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた20年には68万人まで落ち込んだ。今年に入り、外食チェーンのテナント撤退が続き、現在は約30区画中14店舗の営業にとどまる。
 同館単体では開業以来赤字が続いていたが、グループ内の不動産や広告の収入で補塡(ほてん)していた。新型コロナ禍で本業の電車の利用が激減し、同館の営業継続は難しいと判断した。
 5月12日の役員会で閉鎖を正式決定し、テナントに説明して回っている。あるテナントの店主は「コロナの影響で厳しいと予想していたが(閉店後の移転先など)今後を考えると、とても不安だ」と困惑した様子で話した。


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