“黒龍ブランド”が酒と食、伝統工芸で福井の魅力発信…6月17日、福井県永平寺町に新施設 3万坪に販売店やレストラン

酒販売・飲食施設「ESHIKOTO」の酒樂棟(手前)と臥龍棟=6月4日、福井県永平寺町下浄法寺
県産食材をふんだんに使った料理を提供する酒樂棟の「acoya」

 黒龍酒造(本社福井県永平寺町)などの持ち株会社石田屋二左衛門(同)は、永平寺町下浄法寺に酒販売・飲食施設「ESHIKOTO」(えしこと)を整備した。2024年春の北陸新幹線県内開業を視野に、九頭竜川沿いの緑豊かな環境の中で酒と食、伝統工芸品が彩る空間を提供し、福井の魅力を発信する。6月17日のオープンを前に4日、施設を報道陣に公開した。

 約3万坪の広大な敷地を確保し今後、宿泊拠点なども順次設ける計画。施設名の「えしこと」は逆から読むと「とこしえ」となり、「永久の豊かな時間」との意味を込めた。「良(え)し事」にも由来するという。

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 敷地西側に整備した酒樂(しゅらく)棟(鉄骨造り2階建て、延べ床面積約1500平方メートル)には、日本酒などの販売店とレストラン「acoya」が入る。同施設限定の新ブランドの日本酒、梅酒、スパークリング酒を販売。レストランはフランス料理店を展開する県内事業者が運営し、県産食材をふんだんに使った料理やオリジナルの焼き菓子を提供する。

 笏谷石(しゃくだにいし)の床や越前和紙の壁紙など、内装に県産材を多く活用した。レストランの幅1.2メートル、長さ9メートルのテーブルは、樹齢220年の県産スギの一枚板。越前箪笥(たんす)も飾り、「伝統文化の粋を集めた」(関係者)空間を演出した。

 敷地東側の臥龍(がりゅう)棟(木造平屋建て、床面積約750平方メートル)は内部にスパークリング酒の貯蔵庫を備え、常時8千本を保管。特別なイベントを除き非公開とする。

 黒龍酒造は、2019年7月に石田屋二左衛門を設立し、持ち株会社制に移行した。水野直人社長(57)によると、ワインの本場フランスの田舎町は国内外のファンで連日にぎわい、自然の中で酒と食を味わう観光スタイルが定着している。「福井の自然や食も負けていない」と、今回の構想を10年来練ってきた。

 今後は食や工芸の職人らが集うマルシェも企画していく。水野社長は「さまざまなクリエイターを巻き込み、福井が誇る文化の発信・交流拠点を目指す。黒龍はそのピースの一つに過ぎない」と語った。

 施設利用は20歳以上に限る。水曜定休。

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