京都の山間部、長年の不法投棄に怒り 「きりがない」住民がトラック3台分清掃

市道沿いの谷あいに捨てられていた大量のごみ。多くは落ち葉や土で見えにくい状態となっていた(京丹後市丹後町徳光)

 京都府京丹後市丹後町徳光の山間部にある市道沿いで、ごみの不法投棄が長年続いていることから、地元の徳光区(96戸)が初めて一斉清掃した。住民らによる人海戦術で集めたごみは2トントラック3台分。参加者らは「これ以上、ごみの投げ捨てが起きないように」との願いを込め、作業に汗を流した。

 ごみが捨てられているのは、市道から約10メートル下の谷あい。ペットボトルや空き缶が散乱し、タイヤ、ドアノブのほか、ガスこんろやバッテリーなどの危険物もあった。ごみの多くは落ち葉や土の下にうずもれ、見えにくい状態となっていた。一斉清掃は5月15日にあり、参加者たちは斜面で踏ん張りながらごみを土のう袋に詰め、バケツリレー方式でトラックの荷台に次々と積み込んでいた。

 現場に近い市道沿いには2年ほど前、同区が「ごみを捨てないで」との住民の願いを込め、神社の鳥居をあしらった看板を設置した。区長の男性(67)によると、「10年ほど前から、ごみが特に目立つようになった。廃棄しようとする人に視覚で訴えたつもりだったが、効果はないようだ」とため息をもらす。約50人の参加者からは「こんなもの、捨てる者の気持ちがわからん」「どうすれば、防げるのか」「きりがない」という声が上がった。

 約2時間の作業で集めたごみは土のう袋約400個近くに達した。区長は「投棄防止ネットを設ける予定で、市にはカーブミラー設置も要請する。一見、目立たないようなところでも、誰かがどこかで見ているということを知ってほしい」と話す。

© 株式会社京都新聞社