飼い主が悩みがち…愛犬の甘噛みがエスカレートする理由、原因は? 獣医師に聞く攻撃的な行動を抑える方法【ペットドクター相談室】

2021年末に保護犬を我が家にお迎えしました。 最近、甘噛みがひどくなってきて困っています。 初めはペットベッドや食器だったのが、今では小学生の長男の顔や耳がちぎれるほど強くなってきました。噛むたびに注意をしたり、歯固めのおもちゃを渡したりしていたのですが、最近ではものすごく興奮して止まらない状態です。犬も人間もこれ以上悲しい思いはしたくありません。何か得策はありますでしょうか?本当に困っております。(チワックス、はるひろこさんの相談)【お答えします】福井県獣医師会 開業部会 アンマー動物病院(福井県福井市)葛城直子院長

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 ご質問ありがとうございます。わんちゃんの咬む、うなるなどの攻撃行動がエスカレートしてしまうと、共に生活するうえで大変お困りのことと思います。

 わんちゃんの攻撃行動の多くはわんちゃん自身に物を奪われたくない、ここちよい居場所を奪われたくない、触られたくないといった理由が存在します。攻撃行動はひとりではおこりません。必ず攻撃対象となっている人や動物とのかかわりあいの中で必要性を感じて起こっているのです。

 そこでまず第一に、どんなかかわりあいの時に攻撃行動が起こっているのかを考えてみる必要があります。その上で、人や動物が攻撃されない状況をつくるために攻撃行動にかかわるであろう生活導線をわけることが大事になってきます。きっかけとなる原因や状況をできるだけ作らないように考えて対策をとっていきます。

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 次に、わんちゃんの欲求が十分に満たされていない場合にも興奮しやすくなったり、刺激に対する反応が過度になったりする場合があるので、食事量や散歩の内容、生活環境の状況の確認や身体につらいところがないかどうか、わんちゃんにとって快適な生活がおくれているか再度確認していきます。また、怖い、緊張している、怒っているというわんちゃんの感情をあらわすボディランゲージを飼い主様が理解することで、不用意に攻撃行動につながるリスクを避けることができます。

 さらに、そこから、わんちゃんとの信頼関係を再構築していくことが大切になっていきます。好きなおやつや遊びをつかってお座り、伏せ、待てといった初歩的なトレーニングに再度取り組んでいきます。ここでは、わんちゃんが成功するタイミングで行っていき、わんちゃんのモチベーションを高めることが目的になります。その次には攻撃行動の行動修正を行っていくのですが、簡単ではない場合はドッグトレーナーなど専門家のサポートをうけていただくといいかと思います。

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 最後に、補助的にお薬を使っていくことがあります。あくまでお薬は補助的なもので、お薬だけで劇的に攻撃行動がなくなるわけではありません。

 こういった攻撃行動ひとつをとっても原因はひとつではなく環境やわんちゃんの性格など個々のケースによって必要な対策が異なってきます。まずはかかりつけの獣医師にご相談ください。

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