女子高生の証言!佐野元春とハートランドが私にくれたもの〜東松山女子高の奇蹟  佐野元春とハートランドが教えてくれた、ライブ! 本当の音楽! 音って生きているんだ!

女子校の体育館で行われた佐野元春 with ザ・ハートランドのライブ

佐野元春 with ザ・ハートランドと、この日のために頑張ってくれた実行委員に感謝を込めてーー

その日、田舎の小さな女子校の体育館で何が行われているか、誰も知らない。その場にいた人達だけが、その歴史の渦の中に放り込まれていった(※伊藤銀次さんのコラム『東松山女子高の奇蹟、佐野元春 with ザ・ハートランドの快進撃が始まった!』をご覧ください)。

そう、佐野元春 with ザ・ハートランドのライブの真っ只中に… である。

パワフルで止まることを知らない大きなエネルギーの渦が、たくさんの音と言葉と共に皆を巻き込み、天へと突き抜けていく。

こんな凄いエネルギーを感じたことがあるだろうか。佐野元春 with ザ・ハートランドを知らなくても、そんなことはもう関係ない。誰も気にしてはいないし、彼らの創り出すすべての音に、何もかもがひとつになっていく。誰もが時と空間を忘れてひとつのうねりになっていく。

パワフルでエネルギッシュ! TVやラジオでは体感できない “生きている音”

今この一瞬、一瞬を、なんの設備も揃っていない高校の体育館で、そんなことなど気にも留めず、佐野元春 with ザ・ハートランドがどんどん突き進んでいく圧巻のライブは、彼らの音楽を知らない人たちまでずっと昔から知っていたような錯覚に堕ちていく。音楽には国境なんてない。そのまま、アーティストと観客の間には境がなくなっていた。

外では優しい春の陽射しに小鳥たちが囀っている。今この音楽の箱を開けてしまったら、小鳥たちはロックを刻み始めるだろう。

本当にこの小さな体育館という箱ではもったいないライブ。それを忘れさせるくらいパワフルでエネルギッシュ。TVやラジオでは体感できない “生きている音”。音って生きているんだ! と実感させられた素晴らしいものであった。これがライブなんだ! これが本当の音楽だ!と教えてくれた。

ライブハウスやコンサート会場のように整った環境ではない場所のライブにかかわらず、この圧倒的パワーって何だったんだろう… と思いを馳せる。それは、音楽が大好きで、自分の信じる道を歩き続けるポジティブさと努力なんだと思った。

衝撃だった「アンジェリーナ」と佐野元春との出会い

このライブの1年前に全てが動き始めていた。1980年の初めのころ、その日たまたまつけたFMラジオから流れてきた曲。その出会いは衝撃であった。運命といっても過言ではなかった。不思議にそのリズムとビートとメロデイーは自然にすんなりと身体の中に入ってきた。それが「アンジェリーナ」。

その瞬間からそのサウンドが忘れられず、毎晩深夜ラジオサーフィン(今でいうネットサーフィン)。寝る間も惜しみ探して聴きまくった。今ほど情報もなく(アナログ人間なので)探してあてて聴けたらラッキー。その当時、彼らの音楽はラジオからだった。だから365日ラジオデイズ。まだレコードなど買える大人ではなかった。

そんなある日、教室の黒板に3人のアーティストの名前が書かれてあった。まさかの衝撃、そして感動! 申し訳ないが、ほかの2人の名前は全く記憶にない。気分は急上昇、舞い上がり天井を突き抜け天まで駆け上がった。同級生を巻き込み、そのアーティストを推した。それが「佐野元春さん」である。

残念ながら自分は実行委員ではないので、当日までの成り行きはわからないし、舞い上がっているから周りなんて見えていなかったし、そんなことはどうでもよかった。まさか! こんな田舎の小さな女子校に! アンビリーバブル! 夢なら覚めないで!

ありがとう! 計り知れない興奮! 感謝! 感動!

どんな時も全力! それを行動で示してくれたのが、佐野元春 with ザ・ハートランドで、彼らのおかげで今がある。

こんな環境の中で200%の素晴らしいパフォーマンスをしてくれた佐野元春 with ザ・ハートランド。そして、現在の佐野元春&ザ・コヨーテバンドも同じである。この誰もが未経験の不測の事態に、怯え震えているときも勇気と元気を、頭を上げて前に進むことを教えてくれて、音楽と詩でそっと後押しをしてくれた。彼らの姿は40年以上の時を超えても変わらずにある。

この数年後、彼は自分の夢をリアルにするためニューヨークに渡った。自分の夢を確かなものにするためだと思った。自分も1992年にロサンゼルスへ渡った。今ポジティブな自分でいられるのは、この時の佐野元春 with ザ・ハートランドのおかげである。

ありがとう。いつも一人じゃない。一人の時もいつも隣には、佐野元春 with ザ・ハートランド、ザ・ホーボー・キング・バンド、ザ・コヨーテ・バンドがある。

そして2022年の今も、時を経て進化しながら素晴らしい音楽と詩を生み出している。アンジェリーナがairにのって日本中に流れたあの時から40年以上が経つが、音楽も詩もスタイルも進化し続けているが、彼の情熱はあの時から変わらない。

いつも勇気と元気を音楽に載せて運んでくれる。

音楽と詩に愛をたくさん感じる今日この頃。

新曲もすぐに身体の中にすんなりと入ってきて、知らず知らずのうちにリズムを刻んでいるのは40年以上変わらない。

※2021年3月28日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: 土屋美哉

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