規格外の野菜と果物を全国から集めサブスク宅配 大規模農家やJAから仕入れ、福井県鯖江市のエクネス

福井県外から仕入れた規格外のニンジンの仕分け作業=6月1日、福井市内の倉庫

 手紙代筆、眼鏡企画販売などのエクネス(本社福井県鯖江市上河端町、平井康之社長)は、ひびが入っていたり、サイズが小さかったりする規格外の野菜や果物を全国から集め、宅配する月額制サービスを始めた。全国の農家やJAと連携し、従来なら廃棄される作物を扱うことでフードロスの削減に貢献し、持続可能な社会の実現を目指す。

 農林水産省によると、日本で1年間に発生するフードロスは約612万トン(2017年度推計値)で、東京ドーム5杯分。内訳は、売り物にならない規格外品や売れ残りなどの事業系食品が328万トン、家庭でのロスが284万トン。

 エクネスが始めたサービス名は「ロスヘル」。福井をはじめ全国15県の大規模農家やJAなど、約50事業者から規格外の野菜や果物を仕入れ、段ボール箱に4~9種類を詰めて顧客に発送する。

 扱う商品は日持ちがするダイコン、サツマイモ、カボチャ、タマネギ、ゴボウ、リンゴなど。顧客は5キロ、10キロ、20キロ分の三つの中から選択し、1カ月または2週間ごとの配送を選ぶ。中身は季節に応じて変えていく。

 1カ月ごとの発送なら5キロパックは1836円、10キロは2916円、20キロは4860円で、いずれも送料別。平井社長は「一般的な食品売り場価格より30%ほど安くなるような商品構成にしていきたい」と話す。

 現在の顧客は全国の約100人で、5月下旬に初出荷した。顧客獲得につなげるキャンペーンも並行して展開。ロスヘルのインスタグラムをフォローした人には、富山県産の規格外のサトイモ2トン、岐阜県産のニンジン1トンを、1~3キロに分けて無料で発送した。

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)では、2030年までに世界のフードロスを半分に減らす目標を掲げている。同社によると、規格外の野菜は産業廃棄物として焼却処分されるケースもあり、温室効果ガスの排出にも影響している。

 平井社長は「今後は仕入れ先と顧客を増やし、フードロスの削減に少しでも貢献できれば」と話している。

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