医学的な処置で遺体の顔色を明るく コロナで死去 「元気な頃の顔を見てお別れしたい」遺族に応える葬儀業者

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メモリアルサービスKirariの知念徹代表の手配で屋外の敷地で執り行ったコロナ面会葬儀の様子(提供)

[新型コロナ 沖縄の今]

 新型コロナウイルスに感染して亡くなった人との別れの時間を家族がどう過ごせるか-。葬儀の現場で模索が続いている。感染拡大初期は感染防止の観点から、火葬を終えるまで家族が一度も対面できないケースも多く、今も一定の制約が続く。一方で「対面」を望む家族と感染対策のはざまで試行錯誤しながら、新たなサービスにつなげる業者もある。ある家族と葬儀の現場を取材した。(社会部・普久原茜)

 コロナに感染した父を2月に亡くした50代女性は、知人の紹介で那覇市の葬儀社「メモリアルサービスKirari」の知念徹代表(32)を頼り、「対面」の葬儀を模索した。

 厚生労働省が公表しているガイドラインによるとコロナで亡くなった人の遺体からの感染を防ぐため、遺体全体を覆う「非透過性納体袋」に収容・密封して納棺される。知念さんによると直接遺体に触れるリスクがあるため、コロナに感染した遺体の化粧などの「整容」を行う事業者は県内にほとんどいない。納体袋のビニール越しに見る顔の生前との変わりようにショックを受ける遺族もいるという。

 知念代表は、家族の「元気な頃の顔を見てお別れしたい」との思いを酌み、遺体を美しく保つ業務を手がける「おもかげ」(浦添市)に依頼した。嘉陽果林代表は化粧だけでなく、医学的な処置で顔色を明るくしたり顔の張りを出す独自の技術を有する遺体管理師だ。

 感染防止対策で使い切りの道具を使用するなどしながら遺体を在りし日の顔立ちに戻した嘉陽代表は「面会は、家族の死を納得して受け入れるための大切な時間。遺族が次の一歩を踏み出すために、できるだけのことはしたい」と語る。

 葬儀は知念さんが懇意にしている寺社の屋外の敷地で執り行った。参列者は6人。換気の良い屋外でも、フェースシールドやサージカルマスク、手袋などを着用したという。

 女性は「父の死に今も悲しみは残るが、顔を見てお別れできて本当に良かった。家族みんなが感謝している」と話した。知念さんは「生前をしのべる穏やかな時間を提供したい」と今後もこの形式での葬儀を提案する考えだ。

 他の葬儀社も葬儀の在り方を模索している。那覇市の別の葬儀社は火葬場の規定に従い、5人以下に制限して火葬前に故人との対面時間を設ける。

 浦添市のいなんせ典礼は自社のホールを常時換気し、感染防止対策を徹底することで、人数制限をせずに故人と最後の対面ができるよう配慮した。ただ、遺体の整容や袋を開けるなどの対応は現在行っていない。担当者は「遺族の望む形を提供したいが、公的なルールが変わらないと難しい。科学的根拠に基づくガイドラインの更新も検討してほしい」と望んだ。