天皇制と〝国体〟語る 高橋源一郎さんが講演 高田別院研修会

 上越市寺町2の高田別院でこのほど、社会問題研修会(高田教区教化委員会主催)が開かれた。小説家、文学者、文芸評論家の高橋源一郎さん(明治学院大名誉教授)が「『天皇制』を問う」と題して講演した。

 高橋さんは天皇制と日本の憲法典、教育勅語でうたわれる〝国体〟の関係性を語った。髙橋さんが世界各国の憲法典を比較したところ、日本国憲法のみに特異な特徴があるという。多くの憲法が、人権や国民を条文の最初に位置付けているのに対して、日本国憲法は1条から8条までが天皇、9条に戦争の放棄を規定し、国民の権利についての条文は10条以降となっている。「天皇を一番大事にしているという点では明治憲法と同じ」と語った。

講師を務めた高橋源一郎さん。作家の視点から、天皇制を語った

 〝国体〟について、美濃部達吉の天皇機関説を引用し「万世一系の皇統とそれを受け入れる国民の態度」の立場から解説。明治時代から戦中にかけては、教育勅語の神聖化という「上からの押しつけ」(高橋さん)で〝国体〟を実現していたのに対し、戦後はその人柄や国民に寄り添う姿勢により国民に受け入れられているとし、「自力で〝国体〟をつくるに至った」と説明。「天皇にささやかれないと希望を持てないというところに、日本の脆弱(ぜいじゃく)さがあるのではないか」と語った。

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