海野建設(日向市)スクエアパネル ブースや山小屋に活用

スクエアパネルを使ってブースを組み立てるスタッフたち=宮崎市・アミュプラザみやざき

 海野建設(日向市東郷町、海野洋光社長)が手がける建築資材「スクエアパネル」が活用の幅を広げている。組み立ても解体も簡単な上、再利用可能で産業廃棄物にならず、SDGs(持続可能な開発目標)の理念にも合致。イベントのブースや山小屋など、さまざまなアイデアが形となっている。

 4月末の午後。アミュプラザみやざき(宮崎市)が企画した催しを前に、スクエアパネルを使ったブースが組み立てられていた。プロの職人は1人だけ。女性3人を含む関係者約8人が156枚を1日半で組み上げた。
 県産スギ材にこだわったスクエアパネルは縦横各110センチ、厚み14センチ。ボルトナットで接続するため、インパクトドライバー一つで施工できるのが特長だ。これまでもベンチやテーブル、災害避難住宅などに使用されており、職人不足をカバーする資材としても期待は高い。パネルは実用新案登録を、工法は特許を取得している。
 この日はJR九州の子会社・JR九州コンサルタンツ(福岡市)不動産部の2人が視察のため来県。小規模な事務所や店舗、倉庫などに活用するのが目的で、用地・不動産本部の後藤司不動産部長は「スクエアパネルは簡単、格安、快適の3要素を備えている」と評価。本年度から佐賀大との共同研究を進めていく計画だ。
 コロナ禍でアウトドアブームが広がる中、今年新たに完成したのは登山者の避難所にもなる三角屋根の山小屋「ヒュッテント」(縦220センチ、横330センチ、高さ378センチ)。室内に明かりをともすと隙間から漏れる光が矢印に見え、登山者の目印になる優れものだ。
 使用パネルはわずか34枚。外壁にテント布をかぶせるだけで完成するため、重量は1・3トンと一般的な小屋の半分以下。価格は約100万円となる見込み。海野社長は「登山者の緊急時の避難所として一定の需要があるのではないか」とさらなる可能性を追求する。

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