マスク着脱「状況応じ適切に」 岡山大大学院 頼藤教授に聞く

 新型コロナウイルスの基本的な感染対策の一つとなっているマスク着用について、政府は人との会話のない屋外など一定の条件下では不要とする見解を示した。岡山県感染症対策委員会委員を務める頼藤貴志・岡山大大学院教授(疫学・衛生学)は、夏場は熱中症が懸念されることもあって「妥当だ」と評価。一方で、感染収束が見通せない中では重症化リスクの高い人と接する場合は着用するなど「状況に応じて適切な対応が求められる」と指摘する。

 ―政府は5月下旬、屋外で人と2メートル以上離れていたり、会話をしなかったりする場合、マスク着用は必要ないとの見解を公表した。

 マスクの着脱は、飛沫(ひまつ)が届くかどうかが目安になる。近距離で会話をする際や換気の悪い場所では着用した方がいいが、例えば自転車で併走中にお互い前を向いていれば、2メートル以内であってもマスクはいらないと考える。これからの時季は熱中症のリスクが高まる。周囲の状況を踏まえ、外せる人は外すべきだ。

 ―未就学児には一律に着用を求めないとしている。

 そもそも未就学児がきちんとマスクを着用できるのかや、表情が読み取りづらいという問題がある。子どもは感染しても重症化しにくいこともあり、無理に着用させなくてもいいのではないか。

 ―政府見解が示されたものの、実際には脱マスクの動きはあまり広がっていない。

 マスクを外せる環境にあっても、周囲が着用していれば外しにくいのが日本人気質。理解不足によるトラブルを防ぐためにも、国や自治体はもっと具体的で分かりやすい説明に努め、国民一人一人に見解を正しく浸透させてほしい。

 ―感染爆発の状況は落ち着いたが、収束のめどは今も立っていない。今後のマスク着脱に関して気を付けるべき点は。

 これまで通り、基本的な感染対策であるマスクの重要性は変わらず、特に重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患がある人と接する場合は着用が望ましい。それぞれの立場や状況に応じて着脱をするなど、感染防止にはめりはりのある取り組みが欠かせない。

状況に応じたマスク着脱を呼び掛ける頼藤教授

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