「昆虫食」静かなブーム 栄養豊富で「持続可能な食品」 商品のバリエーションも拡大

タガメが1匹顔を出す「めっちゃタガメサイダー」=東京都台東区の「TAKE-NOKO」

 次世代の食べ物として「昆虫食」が静かなブームとなっている。タンパク質などの栄養素が豊富な上、環境負荷が少ない「持続可能な食品」として注目され、世界の市場規模は拡大基調。国内でも企業参入の動きが進み、商品のバリエーションも広がっている。

 近年、日本で注目されているのが、「無印良品」を展開する良品計画(東京都)のコオロギせんべい(190円)。徳島大学の研究をベースに量産された食用コオロギの粉末を使用。2020年5月の発売後、話題を集めた。現在はコオロギチョコ(同)も展開している。

 コオロギアイスの販路拡大を目指すのは、開天堂(横浜市西区)。21年10月に発売したアイス(713円)にはコオロギの粉末や宮城県産の新鮮な生乳を混ぜ込み、“初心者”でも食べやすいよう工夫した。

 「商品化するまで配合率の検証を約30回行った。身近な商品として認識してもらいたい」と担当者。同年には特許を取得し、事業拡大に向けて企業との協業を視野に入れる。ライセンス提供も検討中という。

◆6年で14倍超

 昆虫食が世界的に注目されるきっかけとなったのは、国連食糧農業機関(FAO)が13年に発表した報告書だ。昆虫は栄養価が高いだけでなく、牛や豚などの飼育と比べ、飼料や二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない。世界の人口が増加する中、食糧問題の解決につながるとした。

 欧州連合(EU)では18年に昆虫を「新規食品」として承認、ベンチャー企業が参入する動きも。こうした流れを受けて市場規模は年々拡大。日本能率協会総合研究所(東京都)は、19年度に70億円だった世界の市場規模が25年度に1千億円まで増えると予測している。わずか6年で14倍超に急拡大する見通しだ。

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