密かに進化するトイレットペーパー、シングルの方がお得って本当?最近人気の長巻とは?

トイレットペーパーは何を基準に選びますか。シングルまたはダブル、肌ざわり、それとも値段でしょうか。

毎日使うものなので、こだわりを持っている人も多いですよね。特にシングルにするか、ダブルにするかは、人によって好みが大きく分かれるところ。二重構造になっているため肌ざわりがいいからとダブルを選ぶ人もいれば、ダブルよりもたくさん使えてお得だからとシングルを選ぶ人もいるのではないでしょうか。

そこで、シングルはダブルよりも本当にお得なのか、エリエールでおなじみの大王製紙にお話を聞きました。


シングルを選ぶ人と、ダブルを選ぶ人の特徴

「そもそもシングルとダブルは製造工程が異なります。シングルは1枚でしっかり拭いても破れないように紙に厚みや強度を持たせていますが、ダブルは2枚重ねるためそのうちの1枚は柔らかさを追求した紙を使用しています」と教えてくれたのは、大王製紙・マーケティング本部ファミリーケア・ブランドマーケティング部の森脇さん。シングルとダブルは製造段階からそれぞれの用途に適した紙になるように綿密に設計されているのです。

また市販のトイレットペーパーの多くに施されている「エンボス加工」。表面に凹凸をつくり紙をふっくらとさせることで、柔らかく肌ざわりのいいトイレットペーパーに仕上げます。ダブルの場合は、2枚の紙それぞれに異なるエンボス加工ができるため、シングルよりもクッション性が高く、肌ざわりのよいトイレットペーパーを作ることができるといいます。

そのため、「ダブルは、品質の良さや肌へのやさしさを期待して購入する人の割合が高いのが特徴です」と森脇さん。それに対してシングルは「価格に対する感度の高い人が多く選ぶ傾向にあります」。

「シングルの方がお得」は本当?

シングルとダブルでは、1ロールあたりの長さが異なります。特にルールがあるわけではありませんが、1ロールあたりの長さを比べると、シングルがダブルの2倍になっている商品が多いようです。1ロールあたりが長くなる分シングルの方がお得に感じますが、必ずしもそうとは限らないといいます。

「シングルでもダブルでも、平均的な3人世帯では2~3日で1ロール使用することが多く、コスト面ではほぼ同程度であると思われます。これは、ダブルに比べてシングルの方が一度に使う紙の長さが長くなりがちであるためです」

またシングルを選ぶか、ダブルを選ぶかは、居住地によってもその傾向が異なり、今までの習慣で同じタイプを選び続けている人も多いそうです。「歴史的に関西圏や北海道はシングルを選ぶ方が多く、関東から中部圏にかけてはダブルの比率が高くなっています」。

最近は長巻が人気?進化するトイレットペーパー

また最近よく見かける「◯倍巻」「◯倍長持ち」といった長巻タイプのトイレットペーパー。ロール数が減った分、持ち帰りが便利、収納場所を取らない、取替回数が少ないといったメリットがある長巻タイプは、コロナ禍で外出回数を減らしたいというニーズにも合致し、近年存在感を増しています。

市場調査会社インテージによると、長巻タイプが市場に占める割合は、2017年度は14.2%でしたが、2021年度は30.0%と、わずか5年で2倍以上に伸長しました。

<長巻トイレットペーパー市場の推移>

(出典:インテージSRI+ 金額ベース)

「当社でも、従来の1パック12ロール相当の商品よりも容量の多い商品の方が売れ筋となっています」と森脇さん。同社では、4月にエリエールシリーズ史上最も長い3.2倍巻きトイレットペーパー「i:na(イーナ)トイレットティシュー 3.2倍巻」を発売しました。一般的な1ロール「25m×12ロール」のトイレットペーパーよりも、1ロールあたりを3.2倍長くしてロール数を減らした「80m×4ロール」の商品です(8ロール入の商品もあり)。

3.2倍巻きは一般的な商品よりも1パックの総メートル数が20m長く、320m。これは、在宅時間が増えたことにより、3~4人家族の毎月の平均購入量が約301mから約315mへと5%増加した分に対応するためだといいます。私たちのライフスタイルの変化にあわせて、トイレットペーパーは密かに進化しているのです。


生活に欠かせないトイレットペーパー。使い慣れたものもいいですが、店頭に並んだ新商品にも目を向けてみると今よりももっと使い勝手のいいトイレットペーパーに出会えるかもしれません。

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