『ベルセルク』が6⽉24⽇発売のヤングアニマル13号から連載再開!⼀挙2本⽴て!

『ベルセルク』が6⽉24⽇発売のヤングアニマル13号から連載再開する。
『ベルセルク』の連載再開に際し、ヤングアニマル編集部及び森恒⼆先⽣からのメッセージは下記の通り。

【読者のみなさまへ】
『ベルセルク』を再開いたします。
⻑らくご案内が出来ず申し訳ありませんでした。
「⼤ベルセルク展」「YAメモリアル号(2021年18号)」「ベルセルク単⾏本第41巻」などへのみなさんのコメントを読める限り読ませていただきました。その⼀通⼀通やSNSに書かれたみなさんの想いに感謝で⼀杯です。みなさんがどれほどベルセルクに影響され愛してくれたかが⼼にしみます。それを読む三浦建太郎さんご本⼈がいないことが悲しくてなりません。
三浦建太郎さんは⽣前、親友である漫画家・森恒⼆さんに、『ベルセルク』のストーリーやエピソードを話していました。また、スタジオスタッフにも担当編集にも話していました。それは⾔い残していったというわけではなく、こんなこと描いたらみんなびっくりするかな、こんなキャラクターはどうかな、この展開は⾯⽩いかな、と漫画家として当たり前の⽇常でした。
その⽇常は四半世紀以上に及んでいました。⻑い時間を三浦さんと過ごした我々の頭と⼼には、三浦さんの想いが積もっています。三浦さんが描いた構想メモとキャラクターデザインも⾒つかりました。
それらをファンの⽅々の誰にも伝えることなく物語を終わらせることに、強い抵抗感があります。
いま我々が持ち寄ったラストエピソード・最後の⼀コマまでを読んでほしいのです。

再開にあたり我々制作陣は基本姿勢を決めました。
「三浦さんがそう⾔っていた」
これが、制作陣が肝に銘じたことです。
ネームが残っているわけではありませんので、三浦さんが作ろうとしていた原稿を、我々が完璧に形作ることは不可能ですが、三浦さんが話していたことから決して逸脱しないように漫画を構成していきます。三浦さんとの会話や原稿制作を通して⾃分たちの中に根付いた「三浦建太郎」を真摯に紡ぎたいと考えています。
この制作体制こそが三浦さんが思い描いた『ベルセルク』を、拙くても出来るだけ忠実にみなさんに伝えられる⽅法だと信じています。
次号から「幻造世界篇/妖精島の章」のラストまで、まず6話分を掲載いたします。その後は新篇に⼊る予定です。
再開後のクレジットは「原作・三浦建太郎 漫画・スタジオ我画 監修・森恒⼆」とさせていただき、単⾏本のナンバリングも承継いたします。
昔話になりますが、1990年に発⾏された『ベルセルク』の第⼀巻は初版28,000部で発売されました。すぐにヒット作になったわけではなく、当時は知る⼈ぞ知る作品でした。それでも熱⼼なファンを獲得し離さなかったのは、作者の「もっ
とすごい漫画を描きたい!」との想いが伝わったのだと思います。その後、作者本⼈の尋常でない努⼒といくつかの幸運を引き寄せたことで⼤ヒットにつながりました。今では第⼀巻を読んだ⼈間は世界で200万⼈にのぼります。そして多くのファンの⼼に強い影響を与えたと思います。三浦さんの想いをみなさんの⽣活や仕事で活かしていただいていることは、本⼈もきっととても嬉しいはずです。そうした作品との関わり合いをこれからの『ベルセルク』にも賜れれば幸いです。
声を届けてくださったファンのみなさま、本当にありがとうございます。
また、声には出さなくても静かに作品のことを想ってくださった多くのファンのみなさまにも感謝しています。みなさまの存在が前に進むエネルギーになります。本当にありがとうございました。
**2022年6⽉
ヤングアニマル編集部**

今から三⼗年近く前、⾃分は三浦から「ネームの相談にのってくれ」と呼び出されました。いつもの事だったので遊びついでに彼の仕事場に⾏くといつもより深刻な顔をした三浦が「蝕をやらないといけない」そう⾔ったのです。⾃分は(そりゃあ⼤事だ)と思いましたがまさか1週間も軟禁されるとは…。正にその時『ベルセルク』のストーリーは最終回までほぼ完成したのです。
恐ろしい事にそれから殆ど変更なくあの時に完成したあらすじ通りに物語は進んでいました。それから幾度も⼤きなエピソードの度に三浦と話しました。⾃分達は学⽣の頃からお互い同じように相談しながら漫画を描いてきたのです。
勘の良い⽅々は予想していたと思いますが⾃分は『ベルセルク』の最終回までの物語を知っています。しかし知っているから描けると⾔うわけではありません。『ベルセルク』と⾔う偉⼤な作品は天才三浦建太郎だから描けるのです。
しかし⾃分には⼤きな責任が⽣じてしまいました。
⽣前三浦は「最終回までのストーリーは森ちゃん以外誰にも話していない」そう⾔っていたのです。そしてそれは事実でした。あまりに重すぎる責任です。インタビューでもしてもらってファンに向けて話せばいいだろうか?
それともイラストを付けた⽂章でも掲載してもらうか…。しかしそれでは三浦が⾃分に話した情景、ガッツやグリフィスの台詞は伝えきれない…。
悩んでいたところに連絡が⼊りました。
「絶筆した回の原稿をスタッフが最後まで描くと⾔うので⾒て欲しい」
その回の後ろ数ページは完成していませんでした。キャラを⼊れてないところもある。
⾃分は内⼼厳しいだろう…と思いつつ原稿を⾒ました。
――必死の⼒と⾔うのは時に⼈を奇跡的に向上させます。そこには正に『ベルセルク』の完成原稿がありました。
「森先⽣、⾃分達にやらせてもらえないだろうか」
三浦⾃慢の弟⼦達は真っ直ぐ⾃分に伝えてくれました。
三浦と⾃分の恩師である島⽥取締役も「やるなら会社は全⼒で⽀える」そう⾔ってくれました。
ここで逃げれば三浦にこう⾔われるでしょう。
「散々話したのにやってくれなかったのかよ!!」
わかった。ちゃんとやるよ。
皆さんにお断りと約束があります。なるべく詳細を思い出し物語を伝えます。
そして三浦が⾃分に語ったエピソードのみやります。⾁付けはしません。はっきり覚えてないエピソードもやりません。
三浦が⾃分に語った台詞、ストーリーのみやります。当然完全な形にはならないでしょう。しかし三浦が描きたかった物語をほぼ伝えられるとは思います。
三浦の弟⼦達の腕は本物です!
素晴らしい描き⼿です。
三浦不在の『ベルセルク』に不満不服あると思いますがどうか⾒守っていただきたいと思います。よろしくお願い致します。

**2022年6⽉
森 恒⼆**

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