夏本番を前に、笠岡市のメーカーで麦わら帽子作りがピークを迎えている。職人が一つ一つ手作業で縫製し飾り付けした帽子が作業場に積み重ねられ、出番を待っている。
同市小平井の石田製帽では、職人が麦わらや麻で編んだひもをミシンで渦巻き状に縫ったり、リボンを取り付けたりしている。工場の外では、アイロンで形を整えた麦わら帽子を並べ、天日で乾燥させる作業も進む。
同社では今シーズン、例年並みの1万個を生産予定で、色合いやデザインの違う100種類以上を用意する。全国の百貨店などに出荷し、売れ筋は2万円前後。
新型コロナウイルスの影響で減った外出機会が次第に戻ってきたことなどから、5月の売り上げは昨年の2.5倍以上だったという。広報担当の石田琴路さん(49)は「帽子をかぶり、明るい気分で外出を楽しんでほしい」と話している。
井笠地域はかつて、麦わらをひも状に編んだ「麦稈真田(ばっかんさなだ)」の生産が盛んで、麦わら帽子が地場産業として発展した。