東京選挙区は異例の混戦 注目10選挙区の情勢=JX通信社 参院選全国情勢調査(米重克洋)

JX通信社は今夏に行われる参議院選挙に向けて、全国45選挙区を対象に独自の情勢調査を実施し、有権者の動向を探った。全国全選挙区を対象とした調査は4月に続き2度目だ。

全国に32ある一人区の多くで引き続き自民候補がリードしているが、4月の前回調査と比べて接戦模様の選挙区が増えている。大都市圏を中心に13ある複数人区では、当選圏入りをめぐる小差の争いが熾烈になっている。

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本稿では、全45選挙区のうち注目の10選挙区の情勢を詳報する。

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注目一人区5選挙区の情勢

山形県(定数1)

国民現職の舟山康江氏が一歩リードし、自民新人の大内理加氏が激しく追う展開。共産新人の石川渉氏は十分浸透できておらず、N党新人の小泉明氏は厳しい。

舟山氏は無党派層の過半数の支持を集めるほか、自民党支持層の2割を引きつけている。大内氏は村山地方で舟山氏に肉薄するも、庄内地方で差をつけられている。民間企業勤務の層では大内氏が一歩前に出ている。

新潟県(定数1)

立憲現職の森裕子氏と自民新人の小林一大氏が横一線のデッドヒートを繰り広げている。無党派層では森氏が一歩リードしている。小林氏は、国民や維新など野党支持層の一部からも支持を集めるが、連立を組む公明党支持層の支持は調査時点では4割にとどまっている。地域別に見ると、下越、中越、上越の各地域で森氏と小林氏がまったくの互角だ。

N党新人の越智寛之氏、諸派新人の遠藤弘樹氏は支持に広がりが見られない。

岡山県(定数1)

自民現職の小野田紀美氏が優位に戦いを進め、無所属新人で立憲と国民が推薦する黒田晋氏、共産新人の住寄聡美氏が追う。諸派新人の高野由里子氏は浸透が見られない。

岡山選挙区は、公明党が自民候補に推薦を出さない意向を示している唯一の一人区だ。公明支持層の態度決定者の4割は小野田氏を支持する一方、半数は黒田氏を支持している。無党派層では小野田氏と黒田氏がほぼ互角だ。

大分県(定数1)

自民新人の古庄玄知氏と国民現職の足立信也氏が横一線の大激戦を繰り広げている。前回4月の調査から両者の差が縮まった。

同じ構図となった6年前に野党共闘の枠組みで足立氏を支援した共産は、県委員会書記長の山下魁氏を擁立している。山下氏は両者を追っている。

大票田の大分市、別府市を含む中部では足立氏と古庄氏が横一線となっている。足立氏は国民支持層のみならず立憲や社民の支持層からも広く支持を集めている。

N党新人の二宮大造氏、無所属新人の小手川裕市氏は浸透していない。

沖縄県(定数1)

無所属現職でオール沖縄の伊波洋一氏と自民新人の古謝玄太氏が激しく競り合っている。前回4月の調査よりも両者の差が縮まった。那覇市を含む本島南部で古謝氏に勢いがある。

無党派層では伊波氏がリードしている。古謝氏は自民支持層の7割と公明支持層の6割を固めたほか、維新支持層の3割も取り込みながら追い上げを図っている。

N党新人の油山真也氏と諸派新人の金城達郎氏は浸透に躍起だ。

激戦複数人区5選挙区の情勢

埼玉県(定数4)

自民現職の関口昌一氏が一歩先行し、立憲新人の高木真理氏、公明現職の西田実仁氏が続く。残り一枠を無所属現職で国民が推薦する前知事の上田清司氏、共産新人の梅村早江子氏、維新新人の加来武宜氏が争っている。れいわ新人の西氏は浸透に課題が残る。

無党派層では関口氏と上田氏の支持が厚い。地域別では、高木氏と西田氏は秩父地方で支持が厚く、関口氏は全県で幅広く支持を得ている。

東京都(定数6)

すでに立候補を表明している候補が22人おり、全国随一の激戦区になっている。自民、立憲が現有議席維持を目指してそれぞれ2人ずつ擁立しているほか、公明、共産も現有議席の維持を狙う。

自民現職の朝日健太郎氏、立憲現職の蓮舫氏、共産現職の山添拓氏、公明現職の竹谷とし子氏がリードし、その後に続く自民新人の生稲晃子氏、れいわ代表で元職の山本太郎氏、維新新人の海老沢由紀氏が激戦を繰り広げている。それに立憲新人の松尾明弘氏と無所属新人の乙武洋匡氏、ファーストの会新人で国民が推薦する荒木千陽氏が続く。社民新人の服部良一氏は今ひとつだ。

無党派層では蓮舫氏が一歩リードしており、山本氏、朝日氏、山添氏が続いている。生稲氏は島しょ部で、蓮舫氏は多摩地方で、山本氏は23区でそれぞれ支持が厚い。

神奈川県(定数4+1)

自民現職の三原じゅん子氏、自民元職の浅尾慶一郎氏がリードしている。維新元職の松沢成文氏、公明現職の三浦信祐氏、立憲新人の水野素子氏、共産新人の浅賀由香氏、立憲新人の寺崎雄介氏が当選圏内を争っている。国民新人の深作ヘスス氏が続いている。

無党派層では三原氏と松沢氏の支持が厚い。

静岡県(定数2)

自民新人の若林洋平氏が戦いを優位に進め、無所属現職の平山佐知子氏、無所属現職で国民が推薦する山崎真之輔氏が当選圏内入りを狙う。山崎氏は地方議員時代に地盤としていた浜松市を含む西部で比較的支持が厚いが、中部・東部では平山氏に大きく差をつけられている。

県連が自主投票を決めた立憲民主党の支持層では、4割が平山氏を、3割が山崎氏を支持。一度は山崎氏の推薦を決めた維新の支持層では、山崎氏と平山氏がそれぞれ2割強の支持を集めている。

京都府(定数2)

自民新人の吉井章氏が先行し、立憲現職の福山哲郎氏、維新新人の楠井祐子氏が続いている。共産新人の武山彩子氏が追い上げを図る。

立憲と維新の争いが注目される選挙区だが、無党派層では福山氏が楠井氏を上回っている。楠井氏に推薦を出した国民の支持層も半数は福山氏に流れている。京都市内では4月の前回調査より楠井氏の追い上げがみられるものの、依然福山氏がリードしている。

[調査の方法]

調査は5月27日から30日にかけて、無作為に発生させた電話番号に架電するRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で実施し、全国45選挙区で計27,163人から回答を得た。この調査データをもとに、態度未定者の動向を予測するモデルで想定得票率などを算出した。その結果を加味して、現時点における全ての選挙区の情勢分析をまとめた。

調査は4月23日から25日にかけて実施したものに続き、2度目の実施となる。

[調査データについて]

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