九鬼水軍の故郷【たぶん木造駅舎カタログ】紀勢本線08/177 九鬼駅

※2020年12月撮影

トップ画像は、紀勢本線九鬼駅。筆者と同じ昭和31年製の駅舎があります。木造なのか否か建築構造がよく分かりませんでした。それで【たぶん木造駅舎カタログ】です。(笑)

たまたまJR東海保線員の方々が駅前で軌道上を走るエンジン付トロッコを準備していました。

九鬼駅は深い入り江の奥、両側をトンネルに挟まれた場所にあります。この後、保線員さんたちは線路にトロッコを乗せエンジンをかけ亀山駅方面、九鬼トンネルに入って行きました。この時間帯、下り列車は4時間、上り列車も2時間半近く運行がありません。

※2020年12月撮影

大曽根浦駅から九鬼駅に至る駅間7.0kmの間には、第二行野浦トンネル(1,074m)、白浜トンネル(1,030m)、元行野トンネル(1,915m)など9本のトンネルがあります。駅間はほとんどトンネルの暗闇を走っているという感覚です。紀勢本線を敷設するのがいかにタイヘンだったのかが想像できます。

流石にレンタカーでたどっている国道311号線は、海側の紀勢本線に沿ってはいません。山中の長いトンネルで九鬼に抜けています。

※2020年12月撮影

九鬼という地名からまず思い浮かべたのは九鬼水軍です。九鬼駅のある九鬼町を根拠地として九鬼水軍は、歴史に登場したのです。

紀勢本線の九鬼駅は、国鉄紀勢東線が尾鷲駅から延伸された1957年(昭和32年)1月に終着駅として開業しています。冒頭に書きましたが駅舎は駅が開業する前月、1956年(昭和31年)12月に竣工しています。

1958年(昭和33年)、三木里駅まで延伸。1959年(昭和34年)に最後まで残っていた三木里駅~新鹿駅間が開通し紀勢本線が全通します。九鬼駅は1983年(昭和58年)に無人化。国鉄分割民営化でJR東海に承継されました。

周囲が山々に囲まれていることが分かります。

※2020年12月撮影

九鬼駅は国道311号線から九鬼の町に繋がる県道に面しています。駅前は広場。トロッコを積んできたトラックが待機しています。小さいので見えませんがJR東海のロゴが描かれています。

※2020年12月撮影

駅前。左側、田海道川を九鬼大橋で渡って進めば九鬼の町があります。

※2020年12月撮影

次の三木里駅に向かって国道311号線を進みました。湾の奥に九鬼駅の方が見えます。黄色い矢印が九鬼駅です。手前の赤い建物には「渡船のりば」と大きく書かれていましたが、渡船が今も運行しているか否かは不明です。右の赤い矢印が九鬼大橋。名前ほど大きな橋ではありません。

※2020年12月撮影

海と山に閉ざされた閑かな九鬼水軍の故郷を後にします。

※鉄道の撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいています。撮影は何よりも安全が最優先。あくまでも業務・利用の邪魔にならないように、そしていつも感謝の気持ちを持って撮影しています。

(写真・文章/住田至朗)

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