「一生使える知識」と「時間が経つと使えなく知識」の違いとは?

先行き不透明な現代社会を生き抜くための自己投資として、資格取得や学び直しに注目が集まっています。

そこで、ビジネス書作家・岡崎 かつひろ( @zakihalz )氏の著書『お金に困らない人が学んでいること』(すばる舎)より、一部を抜粋・編集して学びを成果に変える方法を紹介します。


知識には「時間が経つと使えなくなるもの」と「一生使えるもの」がある

質問です。あなたなら、どちらを購入しますか?

(1)安価で使い捨て、1年で使えなくなるカバン
(2)ブランド品で、一生使えるカバン

成功者と言われる人ほど、(2)を選択する傾向が強いです。

なぜなら、ブランドは持っている人の信用を高めますし、長く使い続けることができたほうが経済的にも得だからです。こまめに買い替える手間がないのも魅力です。

しかし、うまくいっていない人に限って(1)の使い捨てを買って済ませてしまいます。長期的な価値よりも、目の前の手頃さのほうを大事にしてしまうからです。

あなたがこれから知識を習得するときにも、同じことが言えます。

流行りが過ぎたら終わってしまうものを学ぶのか、一生使える知識を学ぶのか。

一生使える知識はブランド品と一緒です。使えば使うほど味が出て、魅力的になります。一度身につけたらずっと使えるため、経済効果性も高いです。

人生という限られた時間のなかに生きる私たちは、いかに効果的に時間を使うかを考えなければなりません。

期限つきで、何度も新しく仕入れなければならない知識よりも、一生使い続けることができる知識を優先して身につけたほうが、お得なのです。

具体的には次のようなスキルがあげられます。

(1)時間が経つと使えなくなる知識
・流行りのファッションや音楽の情報
・すぐにアップデートされてしまう専門技術
・都度更新が必要な資格を有する知識……etc.

(2)ブランドになる知識
・コミュニケーションスキル
・リーダーシップスキル
・チームビルディングスキル……etc.

誤解していただきたくないので補足しますが、 時間が経つと使えなくなる知識は不要だと言っているわけではありません。

ブランドになる知識を身につければ、専門性がなくても稼げる

例として、システムエンジニアの場合を考えましょう。

かつてシステムエンジニアは高い専門性を必要としていました。ホームページをつくる場合、HTMLやCSSなどといった言語を活用する必要がありました。専門の技術がなければ、ホームページはつくれなかったわけです。

しかし、いまはどうでしょうか?

そんな知識はなくとも、ホームページや販売サイトを作成することができます。

先日「ペライチ」の山下翔一会長の講演を聞く機会がありました。「ペライチ」とは簡易的なホームページや販売サイトをつくることができるサービスです。

新しいサービスですから、若い人、20~30代の利用者が多いのかと思ったら違うそうです。実際には40~50代の利用が多いとのこと。この年齢層はテクノロジーには比較的弱い年代でしょう。しかし、一番利用されている。

つまり、苦手な人でも、専門的な知識や技術がなくても、ホームページの作成ができる時代になっているということ。

技術や知識を持っていなくても、誰でもつくることができるのです。

これは、平均レベルの技術しか持っていない人にとっては驚異となるでしょう。

以前は素人には難しかったことが、最新のテクノロジーやサービスによって克服されているのです。10年前にシステムをつくっていたが、しばらくその仕事に携わっていなかったとしたら、現代ではすでに使い物にならないかもしれないのです。

だからこそ、平均的な技術のレベルを脱して、1ランクも2ランクも高いスキルを身につけなければなりません。 最新の技術が出るたびにアップデートし続ける必要があるスキルは、学びのコストが高いと言えるのです。

一方、コミュニケーションスキルならどうでしょうか?

同じくシステムエンジニアの例を考えましょう。

仮にコミュニケーションスキルが高く、調整がうまい人だとします。

最新のこまかい技術についてはわからなくても、どんなことをすれば意図したものがつくれるかということはわかっています。

そんな人であれば、プロジェクトマネージャーやコンサルタントとして活動することができるでしょう。それで収入を得ることもできます。

専門性はなくともコミュニケーションスキルがあると、自分の価値を上げることができるのです。

だから、コミュニケーションなどの普遍的な能力は、まさにブランドのスキルなのです。

ブランドになる知識はたくさんありますが、いまから学ぼうと思うなら、とくにコミュニケーションから学ぶことを強くおすすめします。

なぜなら、どのスキルとも必ずかけ算することができる必須スキルだからです。

いままでコミュニケーションについて学んで来られなかった人は、書籍で学ぶことはもちろん、セミナーや勉強会などを受講してみてはいかがでしょうか。

すぐに稼ぎたいなら、流行もしっかり学んでおく

まずはブランドになる知識から学ぶことをおすすめしましたが、そこにも課題はあります。それは ブランドになる知識は、稼ぐまでに時間がかかるということです。

たとえば書店に行くとコミュニケーションに関する本がたくさんあります。それだけ読者の関心が大きいテーマだということです。

それと同時に、ライバルが多い市場であることも表しています。

もしコミュニケーションだけを武器に稼ごうと思った場合、売り方を工夫しないと差別化も難しく、稼ぐまでにはなかなか時間がかかるでしょう。

だからこそ、前項と矛盾するようですが、流行りも同時に学ぶことが重要です。

最近だと「ライブコマース」あたりはお金につながる学びとしていい例でしょう。

ライブコマースとはオンラインの動画配信で、リアルタイムでおこなわれます。配信者は視聴者のコメントに合わせて話を変えることができ、ライブ感が楽しいのが流行っている要因です。

ライブコマースのいいところは、配信者と視聴者の関係性が近くなることです。

とくにいまの時代は、何を買うかよりも、誰から買うかのほうが重要視されます。

信頼関係がある人がすすめているものであればきっと大丈夫、という心理が働くのでしょう。顔を見せてコミュニケーションを取れる人から買いたい、そう考えている人が増えているようです。

実際、私もライブ配信によるセミナーの販売をおこないましたが、一度のライブで250人もの人が申し込みをしてくださいました。

これはコロナ前では考えられない現象です。コロナ禍になって世の中が変わるなかで、流行っているものを捉えることでうまくいった事例の1つです。

一人ひとりを直接対面で接客して販売するのも、ライブ配信で接客・販売するのも、かかる時間は変わりません。だとしたら一度に多くの人に対応することができ、さらに動画をアーカイブで残しておけば、あとから見て購入してもらえる可能性がある、そんな販売方法であるライブコマースは今後さらに伸びていくことでしょう。

ちなみに私の友人は、このライブコマースの方法を教える講座を開いています。「まだ体験したことがない。けれども興味がある人」たちが講座を受けたいと殺到し、なんと億単位で講座の販売に成功しています。

ホームページが流行りだしたとき、いち早くホームページの受託開発のビジネスの可能性に気づいた人は、大きなお金を手に入れることができました。

戦後の日本で焼け野原を見て、将来の可能性に気づいた人は、土地を買い、線路を引いて、大成功されています。

これからどうなっていくのかを読んで、流行っていくものを押さえることで、いち早く大きなお金を手に入れることができるのです。

「学びジプシー」にはなってはいけない

ただし、流行りを学ぶときには気をつけなければならないこともあります。

それは「学びジプシー」にならないということです。

学びジプシーとは、学ぶことにただ一生懸命で、あちこちの勉強会やセミナーに参加し、結局、何も行動せずにお金を生み出すことができない人たち です。学ぶこと自体が目的になっているのでしょう。

もちろん生活に余裕があって、趣味として学ぶことができるのであれば問題ありません。しかし、そんな余裕がある人のほうが少ないはず。

私も講師業界にいるため、さまざまな人たちとお会いしていますが、セミナーに行けばなんとかしてくれるだろうと思って、とにかくあちこちに行って情報だけかき集める方々が思いのほか多いです。

残念ながら、それでは豊かになることができません。

そうではなくて、 広く学ぶことと、深く学ぶことのかけ算が重要なのです。

「広く」と「深く」のかけ算を意識すると、自分独自のオリジナルコンテンツをつくることにもつながります。独自性が高ければ高いほど高額で販売することや、そのほかの商品との競争に勝ちやすくなります。

だから、広い学びは、たしかに大きく稼いでいくためには重要なポイントとなるでしょう。しかし、広いだけでは「学びジプシー」になってしまいます。深い学びがなければ、ただ薄っぺらい知識になってしまい、そこに魅力は発生しないのです。

価値が高いと感じ、しかも長く使うことができる知識に関しては、より「深める」ことを意識しましょう。

著者 岡崎かつひろ

[(https://www.amazon.co.jp/dp/4799110195)※画像をクリックすると、Amazonの商品ページにリンクします
先行きが不透明な時代でも「長く」うまくいき続けるためには、良質な学びと実践が欠かせません。ただし、学びと言っても、それは「やみくもにセミナーに行きましょう」「とにかく資格をとりましょう」ということではありません。しっかりと目的をもって、成果、つまりお金につながる学びをする必要があります。これまで学びに数千万円を投じ、実際に年収で億を稼ぐまでになった起業家の「自己投資」の考え方と手法を紹介。「なぜ学びが大事なのか」というマインドの部分から、具体的な「インプット」「アウトプット」の手法、そして学びをお金に変えるコツを語りつくしてもらう一冊。

© 株式会社マネーフォワード