田辺市への移住2年連続最多 21年度は52世帯89人

和歌山県田辺市への移住相談件数と移住者数

 和歌山県田辺市で2021年度、市の相談窓口を通じて移住した人が52世帯89人に上った。世帯数、人数ともに2年連続で過去最多を更新。コロナ禍で高まった地方移住への関心が数字に表われている。

 これまでの最多は20年度の40世帯74人だったが、21年度はさらに上回った。

 市たなべ営業室によると、コロナ禍による働き方や生活スタイルの変化もあってか、20年度以降は移住に関する相談が急増。「移住後はテレワークで仕事をしている人たちもおり、場所に縛られない働き方が増えていることを実感する」という。

 21年度の移住動向を見ると、世帯主の年代別では40代が18世帯と最も多い。20~40代が8割超を占めており、子育て世代や若年層の割合が高くなっている。89人のうち、中学生以下の子どもが22人に上る。

 市内の移住先は、旧市内のまちなかが25世帯47人で最も多く、次いで本宮町が11世帯20人、中辺路町が10世帯14人、龍神村が5世帯7人、大塔地域が1世帯1人。

 かつては山村地域への移住が主流だったが、近年は仕事や生活面での不便が少ない市街地への関心が高まっている。「海の近くに空き家はありますか」「子どもの通学のしやすさはどうですか」といった問い合わせもあるという。

 移住前の住所地は大阪府が9世帯で最多、次いで東京都と兵庫県が各5世帯だった。

 移住にまで至らなくても、週末などを地方で過ごす「二地域居住」の拠点として「空き家を紹介してほしい」という相談もあるという。

 営業室の担当者は「市内は山間部でもインターネット環境が整っており、テレワークがしやすい。そういったこともアピールしながら、移住の促進につなげていきたい」と話している。

■人口流出は続く

 一方、県の推計によると、今年4月1日時点の田辺市の人口は6万8178人。前年と比べて1121人減った。

 死亡数が出生数を上回る「自然減」は646人、転出者が転入者を上回る「社会減」は475人となっており、人口の流出は続いている。

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