川崎市立小で3年間いじめ 男児けが負い、PTSDにも 調査報告書で市教委の対応遅さ指摘

川崎市教育委員会が入るビル

 川崎市教育委員会は8日、市立小学校で起きたいじめ重大事態の調査報告書を公表した。現在は高校1年の男子生徒が小学生だった2016年から約3年間、当時同学年の男児から継続的な嫌がらせを受けたと認定した。市教委は19年12月、保護者からの2度目の要望を受け、調査委員会を設置して調査を開始したが、報告書で対応の遅さを指摘されている。

 報告書によると、男子生徒は小学校4年から6年まで、「バカ」「クズ」などと言われていたほか、手首をひっかかれたり、後ろから接触されて転倒したりして、けがを負ったこともある。6年生だった18年12月から30日以上、不登校になり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。

 男子生徒の保護者は19年3月、学校に相談した上で市教委に調査を要望したが、市教委は児童のケアや保護者同士の話し合いを優先させて調査しなかったという。男子生徒が中学1年生だった同年5月に自殺未遂をするなど精神的に不安定になり、同年9月に保護者が市教委に再度、調査を要望した。

 報告書では、小学校の担任教師が深刻さを認識せず、学校内での情報共有が遅れたことや、調査開始の遅さを指摘している。市教委は「反省すべき点がある。重く受け止め、今後このようなことがないように生かしたい」とした。

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