2022年産(21年秋~22年春)イチゴの出荷量と販売額で、栃木県の全国1位が確実視されることが8日、分かった。栃木県産の9割を占めるJA全農とちぎ出荷分の5月末速報値が、栃木県に次ぐ産地・福岡県の速報値を大幅に超えた。販売額は前年比10%増の264億2千万円と過去最高を更新する見込み。「とちおとめ」、「スカイベリー」、「とちあいか」の主力3品種の単価がいずれも上がり、販売額を押し上げた。
栃木県農政部が同日の栃木県議会農林環境常任委員会で、栃木県の速報値を公表した。出荷量は34年連続、販売額は28年連続で首位を維持する見通し。
出荷量は1%減の2万374トンと前年並みだった。天候不良はあったが、影響は少なかったという。
3品種のうち、名称が決まってから2シーズン目となった「とちあいか」は、栽培面積が2.9倍の43.2ヘクタールに拡大し、出荷量も2.9倍の2515トンとなった。出荷量が最も多いとちおとめは10%減の1万6519トン。10アール当たりの収量が多いとちあいかに転換した農家が増えたとみられる。スカイベリーの出荷量は2%増の1340トン。
品種別の販売額は、とちあいかが3.2倍の32億7600万円と大きく伸ばした。とちおとめは1%減の213億4200万円とほぼ横ばいで、スカイベリーは16%増の18億円だった。
1キロ当たりの販売単価を見ると、とちあいかは11%増の1303円、とちおとめは10%増の1292円、スカイベリーは14%増の1344円と、いずれも伸びて販売額全体に寄与した。
栃木県生産振興課によると、九州産の出荷量が昨年秋の高温の影響で落ち込んだ一方、とちあいかの出荷拡大などで栃木県産の出荷量が安定したことで価値が高まり、単価の上昇につながったという。
福岡県のJA全農ふくれん園芸部によると、5月末時点の出荷量は4%減の1万207トン、販売額は0.2%減の157億9900万円だった。
栃木県は23年産について、とちあいかのさらなる出荷拡大を図る考え。22年産の栽培面積の2倍以上となる100ヘクタール分の苗を準備しているという。