警察犬になれる犬種は? 誤解が生んだ福井県の犬不足…何よりも大切な飼い主、犬の条件とは

2018年に福井県大野市で開かれた犬のしつけ教室。関心を持ってもらうため、警察犬も参加した

 鋭い嗅覚を生かして、犯罪捜査や行方不明者の捜索で活躍する「警察犬」が、福井県内で不足している。行方不明者捜索の出動件数は高齢化に伴って増加しているものの、頭数は減少。警察犬は特定の犬種しかなれないと思われていることが背景にあるという。福井県警察犬協力会は「どの犬種でも警察犬になれる可能性がある」として、候補となる犬を募っている。

 福井県警鑑識課によると、審査会の結果を基に県警が嘱託する「嘱託警察犬」は2011年以降、最大14頭いたが、今年4月末時点で9頭に減少。一方、犯罪捜査と行方不明者捜索の出動件数は、11年は7件だったが、16~20年は29~46件と増加。昨年は26件あった。

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 30年以上にわたって警察犬を育てている同協力会の大森和代さん(65)=小浜市=によると、警察犬不足の原因の一つは「特定の犬種しかなれないと思われている」こと。一般的にシェパードなど大型犬を想像しがちだが「実際はどの犬種でも大丈夫」で、それぞれの長所を生かして活躍できるという。現在の嘱託警察犬はシェパードなど大型犬だけだが、過去には小型犬が嘱託されたこともある。

 これまで7頭の警察犬を育てた大森さんは、過去の犯罪捜査の出動で、窃盗容疑者の車を見つけ出したり、逃亡した殺人容疑者の潜伏先を捜索したりして貢献。防犯カメラなどが普及したものの、鑑識課の小川久典次席は「においをたどる資機材はない。現場にはにおいが残り、これをたどるには犬の嗅覚が必要不可欠」と強調する。

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 ただ、警察犬として活動できるのは「体力的に10歳くらいが限度」と大森さん。新たに警察犬として育てるには1年以上を要し、出動時は飼い主も現場に同行するため、体力が必要となる。同協力会に所属する飼い主の年齢は30~70代で、大森さんも「次の警察犬を育てるかは実際のところ二の足を踏んでいる。体力と相談しながら、考えていきたい」と話す。

 警察犬への関心を持ってらおうと、同協力会は6月12日午後1時から、小浜市川崎2丁目の台場浜公園で「しつけ教室」を開く。初歩的なしつけを指導するほか、警察犬の活動についても紹介する。大森さんは「しつけに悩みがある人など気軽に参加してほしい」と話している。

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