答えのない世界を追求し楽しむ 雄城台高校美術部

「美術は勉強。ただ描くのではなく、美術の歴史や成り立ちを知れば自分の色や本当の個性を描けるようになるが、知っているがゆえに描けないものもある。それが美術の難しさであり、面白さでもある」。そう話すのは、今年4月に赴任した顧問の金村孝之教諭。

創作することは、何かを学ぶことから始まると日々生徒たちに伝えている。長きにわたり芸術緑丘高校で彫刻を教えてきた美術専門の顧問が着任したことで、部員たちにも変化が生まれた。部長の油布晴名(3年)は「今まで専門の先生になかなか習えない環境だったので、とてもうれしい。先生のアドバイスが作品に大きな影響を与えている」と話す。

先月28日に大分市内で行われた「第47回高文連美術専門部スケッチ大会」では、部員自身が「何に着目し、何を面白いと感じるか」で描く空間や特徴的な時間の流れなど自由に表現することに焦点を当てた。部員たちはコロナ禍で3年ぶりの開催となった大会で、それぞれのインスピレーションを元に思い思いの一枚を描きあげ、油布、橋本啓佑(2年)、髙野向葵(1年)の3人が見事、推奨を受賞した。

美術に正解はないが、人それぞれの答えがある世界。金村教諭は「発見や感性を感じることが大切だが、感じても描けないというのは残念なこと。そのために基本的なデッサンや形の成り立ちなど、インスピレーションを形にできるようしっかり伝えていきたい」と、生徒たちの個性や力量に合わせ、美術の幅を引き出す指導を心掛けている。今後は秋に開催される「高文連中央展」に向けて専門的なアドバイスをそれぞれの糧にし、創作期間に入る。

(塩月なつみ)

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