マイナンバーってそもそも何?人に知られたらNG?通知カードのままではできないこと

マイナンバー制度が始まったのは、2015年のこと。日本国内に住民票を持つ人に、12ケタのマイナンバー(=個人番号)がつき、その年の10月から、通知カードが送られてきました。

それ以来、年月を経てもなお、マイナンバーとは何なのかいまひとつわからない、という人も多いようです。そのため、マイナンバーカードの申請をしないままにしていることも。

今回は、マイナンバーとはそもそも何のための番号なのか、そしてマイナンバーカードの役割、通知カードのままではできないことについてお伝えします。


そもそもマイナンバーとは?

マイナンバーは、社会保障、税、災害対策で使われる、12ケタの番号です。ひとりひとりが異なる番号を持ち、基本的に番号は生涯変わりません。

マイナンバー制度には、以下の3つの目的があります。

1.公平・公正な社会の実現:給付金などの不正受給の防止
2.行政の効率化:手続をムダなく正確に
3.国民の利便性の向上:面倒な行政手続きが簡単に

ひとつずつ、詳しくみてききましょう。

公平・公正な社会の実現

たとえば、社会保障制度のひとつ、給付金について考えてみます。給付金は、経済的に困っている人に受け取ってもらうことで、その人は安心して生活することができます。

しかし、給付金の条件に合っていない人が受け取ってしまったり、本当に困っている人に給付金が渡らなかったりするのは違います。給付金を、受け取るべき人が受け取ることが、公平・公正な社会であり、その実現のためにマイナンバーが使われる、ということです。

行政の効率化

たとえば、福祉サービスや社会保険料の減免などの申請をすると、対象になるかどうかは国や地方公共団体などの情報をやりとりして確認をする必要がありました。

しかも、機関ごとに情報の管理方法が異なります。住民票コード、基礎年金番号、健康保険被保険者番号など。同じ人の情報であるかどうかの確認に、多大な労力と時間がかかるのです。

一方、マイナンバーは、社会保障・税・災害対策については共通の番号を利用するので、個人の特定を迅速、確実に行うことができるようになります。役所の仕事は時間がかかってしまう、と言われますが、マイナンバーの導入によって改善できるとされています。

とはいえ、コロナ禍の給付金では受給までに時間のかかった自治体もあり、この点はまだ道なかば。今後に期待しましょう。

国民の利便性の向上

マイナンバーを利用することで、行政への申請手続きが便利になります。マイナンバーは、社会保障・税・災害対策の3分野で共通する番号ですから、従来は申請の際に添付する書類を少なくすることができます。

申請手続きのために、住民票の写しや、健康保険証、課税証明書など、自治体の窓口で受け取る必要がないのは、時間や手間がかからず便利になります。

つまり、マイナンバーは、便利な暮らしとよい社会の実現のために使われる番号です。

マイナンバーを他人に知られてはいけない?

繰り返しになりますが、マイナンバーは社会保障・税・災害対策の3分野で使われる番号です。逆に言うと、それ以外で使ってはいけない番号です。なぜなら、マイナンバーは個人と紐づいている大切な情報だからです。

そのため、マイナンバーを求められるシーンは限られています。

たとえば、勤務先や契約先企業など、給与や報酬、料金、契約金を受け取る場合には、相手先にマイナンバーを提供します。また、金融機関で株、投資信託、公社債などの証券取引をする場合もマイナンバーの提供が必要です。

これらは、社会保障や税の行政事務に利用するからです。

そして、マイナンバーは大切な情報ですから、データの管理は厳格なセキュリティが必要です。制度面でも、個人情報保護委員会という第三者機関が、適切に管理されているか監視・監督をおこなう、といったしっかりした体制がとられています。

こうしたことから、マイナンバーを目的外に求めてはいけない、といったルールがいつの間にか、見せてはいけない、知られてはいけない、となってしまったのではないかと筆者は考えています。

マイナンバーを他人に知られるだけでは、なりすまし犯罪や、個人情報を抜き取られる、といったことにはなりません。

個人の特定のためにはマイナンバーだけではなく、顔写真などの提示も必要ですから、勝手に金融機関で借金をされるなどの過度の心配はないといえるでしょう。

また、個人の情報は一カ所に集約されているわけではなく、従来どおり各行政機関等が保有しています。地方税の情報は地方公共団体が、健康保険のことは健康保険組合が、公的年金のことは日本年金機構が、といった具合です。

それらの情報を、必要に応じて照会する際にマイナンバーが使われます。

あまり怖がらなくても大丈夫ですが、大切な情報ですのできちんと管理しましょう。

通知カードのままではダメ?

マイナンバーのお知らせは自治体から、通知カードが送られてきました。通知カードは紙製で、マイナンバーのほか、氏名、住所、生年月日、性別が記載されます。顔写真はありませんので、通知カードのみで本人確認はできません。

その場合は、運転免許証やパスポートなども必要になります。

そして、通知カードは2020年5月25日以降、新規発行や再交付が行われません。持っているカードは引き続き使用はできますが、住所や姓が変更になったら住民票の写しも必要になります。現在、マイナンバーは個人番号通知書でお知らせが届きます。

マイナンバーカードを作っていない人は生活が変わったときに、上記のような不便さが発生してしまいます。

マイナポイントがもらえる期間は?

行政はマイナンバーカードの普及を促進する一助として、マイナポイントの付与をしています。マイナンバーカードを新規に申請すると、最大5,000円相当のポイントがもらえます。期限は2023年5月2月末まで。ポイントのチャージや買物期間も同日ですので、早めの申請がオススメです。

また、マイナンバーカードの健康保険証の利用登録や、公金受取口座の登録をしても、マイナポイントがそれぞれ7,500円相当分受け取れます。付与は2022年6月の予定。
今からマイナンバーカードを作ったら、新規で5,000円分+健康保険証で7,500円分+口座の登録で7,500円、合計2万円分のマイナポイントが受け取れます。検討してみてはいかがでしょうか。

マイナンバーカードが健康保険証代わりに

マイナンバーカードが、病院など医療機関や薬局などで、健康保険証代わりに使えるようになります。まだまだ少ないのが現状ですが、今後増えていく見込みです。

加入している健康保険は転職や転居などで変わりますが、変更手続きをしてから手元に健康保険証が届くまで、タイムラグが生じる場合があります。

しかし、マイナンバーカードを利用すれば加入している健康保険がリアルタイムで確認できるので、医療機関の事務作業も簡略化し、患者側も安心して医療にかかることができます。

また、マイナンバーカードを保険証代わりにすると、過去3年で処方された薬の情報や、過去5年分の特定検診(メタボ検診)の情報を医療機関と共有することができます。共有は、患者本人が同意した場合のみ。マイナンバーカードで受付する際に、同意画面が出ますのであらかじめわかっておくとスムーズです。

医師に以前飲んでいた薬のことを聞かれても、薬の名前までよく覚えていない、といった場合でも、正しい情報が共有されます。共有がためらわれる場合には同意をせず、自分で医師に説明をする選択肢もあります。お薬手帳などを持参して、説明の準備をしておくといいでしょう。

さらに、医療費が高額になった場合、自己負担上限額を超える分は払わずにすむ制度として高額療養費制度がありますが、マイナンバーカードを保険証代わりにすると、従来必要だった「限度額適用認定証」が不要になります。

限度額適用認定証は、健康保険組合などにあらかじめ請求して郵送してもらうのが一般的ですが、病気やケガのなか、ひとつでも手間が省けるのは助かるのではないでしょうか。

ただし、これにも患者の同意が必要です。限度額は収入に応じて決まるので、その情報を医療機関と共有したくない場合には同意せず、いったん医療費を支払ってから払い戻しの手続きをすることになります。

マイナンバーにまつわることは、個人情報やプライバシーにかかわることが多くあります。

なんだか怖い……と思っている人は、正しく理解して、共有できるところは共有し、マイナンバーとマイナンバーカードのメリットを享受するのがいいでしょう。

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