りゅうぐうの砂にアミノ酸23種 岡山大など発表、はやぶさ2回収

特殊な顕微鏡で拡大撮影したりゅうぐうの砂の内部。鉱物や有機物が含まれている(中村栄三特任教授ら提供)

 岡山大の中村栄三特任教授(地球惑星物質化学)や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの研究グループは10日、探査機「はやぶさ2」が小惑星りゅうぐうから回収した砂試料に、「生命の源」とされる有機物のアミノ酸23種類を確認したなどとする研究結果を日本学士院の学術誌最新号で発表した。同試料に含まれた有機物の具体的種類に言及した論文は初めて。

 りゅうぐうの表面や地下から採取した計約5.4グラムの試料のうち、中村特任教授らは大きさ1~4ミリの16個のサンプル(計約0.055グラム)を受け取り、昨年6月から同大惑星物質研究所(鳥取県三朝町)で分析。筋肉の維持に必要なバリン▽新陳代謝を促すアスパラギン酸▽うまみ成分として知られるグルタミン酸―など23種類のアミノ酸を確かめた。また、水素や炭素、酸素、窒素といった元素が最大70種類含まれていることも分かった。

 アミノ酸はタンパク質のもととなる生命に欠かせない材料で、宇宙から飛来した隕石(いんせき)が地球にもたらしたとする学説がある。中村特任教授は「生命の起源に関する議論の基盤となり得る成果」とし、「今後はアミノ酸の型が地球の生命のものと同じかどうかといった分析を進め、学説の補強に取り組みたい」と話している。

 論文では、りゅうぐうの形成過程についても記載。有機物などを含む氷の多い天体が放射性元素の崩壊に伴って生じた熱で温まり、氷が溶けて含有物と反応し、さまざまな化合物ができた。その後、別の天体との衝突を繰り返し、破片の一部がりゅうぐうになったと考えられるとしている。

中村栄三特任教授

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