8号車のハートレーが激しいPP争いを制す。小林可夢偉の7号車が続きトヨタ1-2/ル・マン予選HP

 6月9日、WEC世界耐久選手権第3戦ル・マン24時間レースのポールポジションを決定する、“ハイパーポール”がサルト・サーキットで行われ、ブレンドン・ハートレーがアタッカーを務めたTOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/平川亮/ハートレー組)が最速タイムをマークし、第90回大会のポールシッターとなった。

 前日に行われた予選を経て、全5台で争われるハイパーカークラスを除き、各クラス6台のマシンがこのハイパーポールに進出してきた。セッションは現地20時ちょうど、気温21.6度/路面温度32.6度、日没間際の日差しが差し込むドライコンディションの下でスタートの時を迎える。

 出走全23台の中で最初にアタックに入ったのは、ピットレーン出口に先頭に並んだ7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)で、チーム代表を兼務する小林可夢偉が3分26秒611をマークする。しかし、このタイムはトラックリミット違反により認められず、コースインを遅らせてアタックに入った8号車のハートレーが記録した3分25秒213が最初のターゲットタイムとなった。

 アタックをやり直した可夢偉は3分26秒130でチームメイトに次ぐ暫定2番手に。ニコラ・ラピエール駆る36号車アルピーヌA480・ギブソン(アルピーヌ・エルフ・チーム)が3分26秒568で暫定3番手につける。

 グリッケンハウス・レーシング勢はライアン・ブリスコーの708号車グリッケンハウス007 LMHが3分26秒568で同4番手となり、姉妹車の709号車はオリビエ・プラのドライブで暫定5番手となった。

 アルピーヌとグリッケンハウスの2台はピットイン後、セッション後半にふたたびコースインし再度アタックに入る。トヨタの2台も残り10分を切ったところでコースインした。

 セッション後半戦のアタックではブリスコーが3分25秒841までタイムを伸ばし、トヨタ勢の間に割り込む。直後、ラピエールが3分24秒850というタイムでトップに躍り出る。しかし、その後方では可夢偉がセクター1で全体ベスト、ハートレーもセクタ-2最速で通過する。ハートレーはトラフィックに引っかかりタイム更新ならず。一方の可夢偉は3分24秒585をマークし首位に立った。

 ライバル勢がピットに戻るなかトヨタの2台は最後までアタックを続け、チェッカー振動後に8号車が3分24秒408というタイムを記録。土壇場で姉妹車7号車からポールの座を奪う。再逆転の期待が掛かる7号車の可夢偉だったが、最終アタックのタイムは3分24秒828となりタイム更新には至らず。この結果、トヨタ8号車がポールポジションを獲得し7号車とともにフロントロウに並ぶこととなった。

 セカンドロウでは3番手となった36号車アルピーヌと709号車グリッケンハウスが並び、708号車グリッケンハウスが3列目の5番手から決勝レースをスタートすることが決まった。

TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド 2022年WEC第3戦ル・マン24時間
グリッケンハウス・レーシングの709号車グリッケンハウス007 LMH 2022年WEC第3戦ル・マン24時間
アルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソン 2022年WEC第3戦ル・マン24時間
7号車トヨタGR010ハイブリッドの予選アタッカーを務めた小林可夢偉 2022年WEC第3戦ル・マン24時間

■コルベットが1-2。木村武史組57号車フェラーリはアマクラス2番手を確保

 LMP2クラスでは、38号車オレカ07・ギブソン(JOTA)のアントニオ・フェリクス・ダ・コスタが3分30秒373でクラス暫定トップとなるが、終盤にはライバルたちがこれを破っていく。

 暫定2番手につけていたノルマン・ナトの41号車オレカ07(リアルチーム・バイ・WRT)は、3分29秒697というタイムでダ・コスタを逆転。さらに31号車オレカ07(WRT)のロビン・フラインスが3分28秒394までタイムを伸ばし、これが同クラスのポールタイムとなった。

 38号車オレカ07は、フィリペ・アルバカーキがステアリングを握った22号車オレカ07(ユナイテッド・オートスポーツUSA)にも交わされ、最終的にクラス4番手となっている。

 LMGTEプロクラスは、序盤にワン・ツーを築いたコルベット・レーシングの2台が、一度はライバルのポルシェに割り込みを許したものの、終盤に自己ベストを更新し64号車と63号車シボレー・コルベットC8.Rによるクラス・ワン・ツーを形成。ニック・タンディが記録した3分49秒985がポールタイムとなった。

 コルベット勢に続いたのはポルシェGTチームの2台だ。フレデリック・マコウィッキがアタッカーを務めた91号車が2台目のコルベットからコンマ2秒差の3分50秒377でクラス3番手につけ、姉妹車の92号車ポルシェ911 RSR-19が同4番手で続いた。AFコルセが走らせるフェラーリ488 GTEエボは、ともに3分51秒を切れず52号車がクラス5番手、51号車が同6番手に留まった。

 一方、LMGTEアマではフェラーリ勢がワン・ツーで並び、ヴァンサン・アブリルが乗り込んだ61号車フェラーリ(AFコルセ)が3分52秒594でクラス最速に。木村武史のチームメイトであるミケル・イェンセンがドライブし3分52秒751をマークした57号車フェラーリ488 GTEエボ(ケッセル・レーシング)がクラス2番手となった。

 セッション前半の段階では、この2台にニック・キャシディ駆る54号車フェラーリ488 GTEエボ(AFコルセ)が続いていた。しかし終盤にタイムを伸ばしてきた77号車ポルシェ911 RSR-19(デンプシー・プロトン・レーシング)と、98号車アストンマーティン・バンテージAMR(ノースウエストAMR)に逆転を許したため、最終的には5番手となっている。

 ハイパーポールにより各クラスのトップ6グリッドが決定したル・マンではこの後、現地22時から24時(日本時間10日5時から7時)にかけて、今週2度目のナイトセッションとなるフリープラクティス4が実施される。

WRTの31号車オレカ07・ギブソン 2022年WEC第3戦ル・マン24時間
コルベット・レーシングの63号車シボレー・コルベットC8.R 2022年WEC第3戦ル・マン24時間
LMGTEアマクラスのポールポジションを獲得したヴァンサン・アブリル(61号車フェラーリ488 GTEエボ/AFコルセ) 2022年WEC第3戦ル・マン24時間
ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTEエボ 2022年WEC第3戦ル・マン24時間
2022年ル・マン24時間レースの各クラスポールシッター

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