部活動の地域移行で教員の負担は軽減するか? さらにはどんなメリットが?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月7日(火)放送の「ニュースFLASH」のコーナーでは、“部活動の地域移行”について意見を交わしました。

◆部活を地域移行することで得られるメリット

公立中学校の部活動を学校から地域に移行していくため、スポーツ庁の有識者会議は対応策をまとめた提言を室伏長官に提出。提言では、公立中学校の運動部の部活動について、来年度から2025年までの3年間を目標に、まずは休日から段階的に地域や民間クラブなどへ移行していくとしています。

部活動は指導する教員に負担がかかるなど働き方の問題が指摘されており、室伏長官は「子どもたちのよりよいスポーツ環境を整え、教員のワークライフバランスを含めて取り組んでいきたい」と述べました。民間クラブなどでは、指導者や場所の確保で保護者などの出費の増加が想定されるとし、学校施設を低額で使えるようにするなど、国や自治体の支援を求めています。

株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さんはこのニュースに対し、「昔からこれは議論されてきたが実現しなかったところがあるので、早く実現して欲しいと改めて思う」と期待を寄せます。また、教員自身、競技経験がないのに部活動の顧問などを担当することも多いようで「餅は餅屋で、専門の人に渡したほうがいい」とも。

食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんも、教員の負担を鑑みつつ「小中学生にとっては、より多くの大人が関わることはとてもいいこと」と肯定的な見解を示します。

対して、キャスターの堀潤からは別の意見が。堀は中学生時代、転校先の先生が部活動の顧問も買って出てくれたことで放課後も安心して部活に励むことができ、「ありがたかった」と当時を振り返ります。

法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんは、部活動は基本的に学校終了後、そして休日に行うことから「そこまで学校が面倒をみる必要があるのか」と疑問視。特に今回は学校外の地域に移行するため「その線引きはあってもいいのではないか」と話し、より地域が密着して子どもたちの面倒をみる必要性を示唆。「部活動に学校の先生のリソースが割かれ、ひっ迫するのは非常に残念な問題」と主張します。

◆教育のデジタル化で教員不足は賄えるのか?

先生のリソース不足、負担増大の背景には「教員不足」があります。「#教員不足をなくそう緊急アクション」によるアンケートでは、2021年度における教員不足の学校は公立小学校が36.2%で公立中学校は38.5%。

2021年春に文科省が実施した調査では、公立校が5.8%だったことからも、より深刻な事態になっていることは明白。また、アンケートでは教員不足の弊害として、担任がおらず授業ができない教科があったり、同じ教員が2クラス同時に授業しているという実態も寄せられており、業務量を減らし、働きやすい環境整備が急務となっています。

こうした状況に、小幡さんは「ここ1、2年は特にコロナ禍で授業内容や教えることが変わり、イレギュラーなことはたくさんあったと思うので、とてもしんどかったと思う」と世の教員を労いつつ、「これがきっかけで、オンライン、テクノロジーを活用してほしい」と望みます。

わかりやすいところとして、小幡さんはまず「授業の映像化」を挙げ、「映像を観てもらいながら、わからないところは個別で教えていく。常にリアルタイムで先生が黒板に書いて教えていくやり方はもったいない」と提案。

大学生時代、塾の先生をしていた堀は、その経験から、特に小学校低学年は座らせるまでが勝負であり、なおかつリアルタイムで生まれる楽しい空気感や学びの意欲を高める空気感をいかに作るかが、「先生の腕の見せ所」と言います。そして、それをデジタル化といかにハイブリッドに進めていくべきなのか思案。

由井さんも「まさしく小学校1~2年生は、僕らが思っている以上に授業に集中していないと聞くので、映像の授業は果たして観てくれるのか、集中してくれるのか」と懸念。その上で「今はタブレットなども支給して授業しているので、そこで個別化し、それぞれどこで躓いているのかというデータは蓄積できると思うので、そうしたものを活用しつつ、あとは補助教員のような方を増やし、授業をサポートする体制が作れれば」と理想を語っていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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