蔦哲一朗監督の”借耕牛”を題材とした映画「黒の牛(仮)」が徳島県三好市の黒沢湿原にてクランクインした。

「祖谷物語 -おくのひと-」の蔦監督が手がける今回の作品は『黒の牛(仮)』

テーマとなる”借耕牛”とは徳島と香川で行われた牛を使った農業だ。

一番初めの着想となったのは5年前に兵庫県但馬地方の但馬牛という牛の映画に関わった時。牛をテーマにした映画を撮りたいと思ったのが始まりだ。今回地元で牛に関わる題材を模索していた際に、徳島県と香川県に昭和の時代まであった”借耕牛”に行き着いた。借耕牛とは、放牧地の少ない香川県へ徳島県の農家が春の田植えと秋の刈り入れの年2回に1ヶ月ほど香川県へ牛を貸し出し、戻る際に米や金銭などを持ち帰る風習だ。

主演は台湾の実力派俳優リー・カンション 1頭の牛と1人の男が過ごす日々を描く

映画は借耕牛をモチーフに蔦監督のオリジナルストーリーで撮影され、主演の李康生さん(53)が牛と出会い生きる為にどのように関係性を作っていくのかを探りながら撮影に挑む。

作中では借耕牛という題材から徳島県と香川県だろうと伺えるが、設定では明確にしない。撮影場所は蔦監督の地元である徳島県三好市をメイン舞台に、徳島県海陽町、香川県三豊市、高知県の四国カルストもロケ地となる予定だ。

かつては水田として利用されていた懐かしい風景の残る黒沢湿原がメインの舞台

蔦監督が徳島県三好市の黒沢湿原をメイン舞台に選んだポイントは地元だからという理由だけではなく、湿原内には電柱などを地中に埋めており現代っぽさが少なく、元々50年前に実際に水田を行っていたという歴史もある為だ。貴重な動植物がいる場所で生態系を特別撮影することはしないが、この環境を保全しようと地元ボランティアも活発に活動している場所では借耕牛の時代を感じることができスタッフの意識などが作中にも現れるのではないかと考えているそうだ。

来春の完成、来秋には全国の映画館で公開を予定している。海外の映画祭にも上映予定だ。

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>>蔦監督映画「黒の牛(仮)」春季の撮影を黒沢湿原にて終え、残すは台湾と来年の撮影となり改めて周りへの感謝を表した。

蔦哲一朗(37)Facebook

徳島県三好市池田町出身

主な作品一覧

・夢の島(2009年監督)

・祖谷物語 おくのひと(2013年監督・脚本)

・蔦監督ー高校野球を変えた男の真実ー(2015年監督)

・たまの映像詩集 渚のバイセコー(2021年監督・脚本)

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