
JR九州熊本支社は9日深夜から10日未明にかけ、大規模地震に備えた避難誘導訓練を実施した。2016年の熊本地震を受け、17年から実施してきたが、新型コロナウイルス禍で休止し、3年ぶりに再開した。緊急停車した列車から、乗客を安全な場所まで誘導する手順を確認した。
2両編成の在来線下り列車が熊本駅を出発した直後、熊本地方を震源とする震度6強の地震が発生したという想定。運転席のタブレット端末が緊急地震速報を受信し、男性運転士が緊急停車させた。
運転士は、乗客役の社員らに応援を求めて停車した列車からはしごを下ろしてもらい、約20人を線路上へ誘導した。「携帯電話のライトで足元を照らしてください」と声をかけながら、約350メートル離れた熊本駅のホームまで線路沿いを歩いて先導し、緊急停車から40分で全員を避難させた。
中野幹子支社長は「訓練で気付いたことを社員と共有し、常に災害に備えた安全な運行を心がけたい」と話した。(野村拓生)
