【おんなの目】 日曜日の街の顔は

 日曜日の商店街はいつもの顔をしていない。

 私は土日や祝日にはめったに街に行かない。人が多く混雑しているからである。平日は、人通りもほど良く、喫茶店に入ってもすんなりと希望の席に座れる。備え付けの新聞も雑誌もゆっくりと読める。

 先日用があり祝日に街に出かけた。いつもの喫茶店に入ったら七割の席が埋まっていた。若い人が多かったので、止めようかと思ったが、コーヒーの香りに惹かれて隅の席に座った。

 私の右隣は二十代前半の女性の二人連れ。苺山盛りのパフェを食べている。聞こえてくるのは恋の話。交際中の彼とうまくいっていないので、どうしようかという相談を、丸顔の女性が面長の女性にしている。彼は浮気者らしい。左隣の三十代の女性三人組は、舅姑の話。彼女達の言う対象者はどうも七十代後半らしい。私と同世代! さて、舅姑達の何が気に障るのか、聞き耳を立てる。

 平日の喫茶店はこうである。私が店に行くと、いつも高齢男性二人ゆで卵を食べながらおしゃべりしている。「今ここにあった眼鏡がない!」「ない? 頭の上にあるじゃないか」「ハッハハッ。こりゃいけんわ」。思わず私も笑う。静かである。

 日曜日の街の顔はいつもと違う。興奮して、高ぶっている。

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