やりきれない…国蝶オオムラサキが危機 サルだけでなく人までも 保護施設の怒り

国蝶(国のチョウ)のオオムラサキが、広島・府中市で羽化の時期を迎えています。ただ、危険にさらされる出来事が立て続けに発生し、ことしは大幅に数が少なくなりそうです。

RCC

サナギから出たオオムラサキが羽を広げて乾かしています。

RCC

府中市にある「オオムラサキの里」は、オオムラサキを保護し、数を増やしていく施設です。ことしも8日から羽化が始まりました。オスは羽を広げると10センチほどで、光沢があり、紫色に輝きます。

RCC

その「オオムラサキの里」が、危機に瀕しているというのです。
一体何があったのでしょうか…。

施設では、2019年、幼虫やサナギがサルに食べられるという被害がありました。前の年までは毎年、1000匹ほどが成虫になっていましたが、その年はおよそ700匹しかチョウになることができませんでした。

RCC

対策として侵入経路をふさいだり、見回りを増やしたりして、サルを見かけることは少なくなくなりました。

サナギが食べられた影響で成虫の数が元に戻ってない中、さらに去年、事件が起こりました。

RCC

国蝶オオムラサキを守る会 後藤功会長
「羽が1枚も落ちていないし、胴体のかけらもないから、これは人間の仕業だということは一目瞭然だと思います」

去年6月、幼虫やサナギや成虫合わせておよそ300匹が消えてなくなるという出来事がありました。長年、世話を続ける後藤さんは、手際のよさから動物ではなく、人間の仕業とみているそうです。

RCC

生き残ったチョウから生まれて、ことし、成虫になりそうなのは140匹ほど…。1980年に始めた保護施設は、最大の危機を迎えています。

サルだけじゃなく、人間までもが繁殖のじゃまをする事態に、後藤さんは「やりきれない気持ちだ」といいます。

後藤功会長
「生き物を捕まえて持って帰ること自体、わたしらが一生懸命保護していますから怒りを覚えます。羽化が始まったら、拍手をして、みなさん、喜んでくださいますから、その顔を今後も忘れずにまた続けていきたいと思います」

RCC

新たに防犯カメラや鍵を取りつけて、二度と盗まれないような対策をとりました。

後藤会長によりますと、オオムラサキの数を元に戻すには最低でも3年かかるそうです。貴重なチョウを守りたい…。再起をかけた活動が続きます。

© 株式会社中国放送