『世界遺産』沖縄に残る5つのグスクと4つの関連遺産群を約2年がかりで撮影!

第二次世界大戦後、沖縄の施政権がアメリカから日本に返還されたのは1972年5月15日。今年、日本本土復帰50周年という節目を迎えた。
『世界遺産』(毎週日曜午後6時)では、そんな節目を迎えた沖縄にある世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」を6月19日に放送する。
現在では日本を代表するリゾート地としてのイメージが強い沖縄。そんな沖縄にはかつて15世紀に成立し、独自の文化を形成した琉球王国があった。「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、沖縄に数多くあるグスク(城)の中から首里城跡、中城城跡(なかぐすくじょうあと)、座喜味城跡(ざきみじょうあと)、勝連城跡(かつれんじょうあと)、今帰仁城跡(なきじんじょうあと)の5つのグスクとその関連遺産となる園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)、玉陵(たまうどぅん)、識名園(しきなえん)、斎場御嶽(せーふぁーうたき)の4つで構成される。琉球の歴史や文化の特質が評価され、2000年12月、日本で11番目の世界遺産として、文化遺産に登録された。
今回、番組では世界遺産となっている5つのグスクと4つの関連遺産群を約2年がかりで撮影。沖縄の青い海をベースに、その威容を空からさまざまな角度で撮影、ドライブ感あふれる映像に収めた。
いにしえより島の人々が神への祈りを捧げてきた最高の聖地へ。サンゴが生んだ海の王国に迫る。

(C)TBS

■放送内容/みどころ
◎巨大な山城の謎
世界遺産の中で最古のグスクはおよそ800年前に造られた豪族の城、勝連城跡(かつれんじょうあと)。4つの郭(くるわ)を階段状に配置した様式の城は自然の地形を巧みに取り入れた城壁をめぐらせている。
沖縄本島北部の今帰仁城跡(なきじんじょうあと)は、その見事に積み上げられた堅牢な城壁が全長1.5kmも続く。
そして、二つの巨大な星形の城壁が連なる座喜味城跡(ざきみじょうあと)。沖縄戦の戦火を免れ、最も保存状態のいい中城城跡(なかぐすくじょうあと)。こうしたグスクの多くは、サンゴが堆積してできた琉球石灰岩を切り出して作られている。グスクの変遷は、その石積み技術の進化史でもある。砕いた石をそのまま積み上げたものから、石材を丁寧に加工、遂には多角形の巨石を互いにかみ合うように積み、強度と耐久性を手にした。ただグスクがどのようにして造られたのか資料は残されておらず、また、加工のための道具も見つかっていない。巨大な山城はいまだ謎なのである。

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◎琉球王国最大のグスク!
1429年から明治時代の初めまで、450年にわたり栄えた琉球王国。那覇の丘の上に建つ首里城は、王国最大のグスクである。2019年、原因不明の火事で正殿を含む中心部が焼失、今年11月に正殿の復元工事が始まり、2026年の完成を目指す。
番組では、火災前の2016年に首里城を撮影していた。在りし日の正殿内部、漆の赤に鮮やかに彩られた空間が蘇る。首里城の約3km南にある、王の別邸、識名園(しきなえん)。そして、サンゴ由来の琉球石灰岩の巨大な山をくりぬいて造られた王の眠る陵墓、玉陵(たまうどぅん)。建物には一部岩盤がむき出しのまま残されたところがある。自然に最後までは手を加えない、沖縄独特の美意識の表れである。

◎祈り場としてのグスク
首里城の守礼門(しゅれいもん)の奥にある園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)は、王が城外に出るとき無事を祈願した拝所。門の中には建物があるわけではなく、広がる森が聖地である。琉球では木々や岩、岩陰に神が降りてくると信じられてきた。首里城には京の内(きょうのうち)と呼ばれる祈りの場の森があり、この森が首里城発祥の聖地である。グスクはみな、祈りの場に造られているのだ。祈りの場は沖縄に無数にあるガマと呼ばれる洞窟にも見られる。今でも人々が祈りを捧げるガマは、古代人が暮らした住居であり、横穴式の墓であり、先祖供養の場でもある。沖縄戦では防空壕としても使われた。ガマは古来より、島の人々とあり続けてきた。

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◎琉球王国最高の聖地
沖縄本島東南端に神の島と呼ばれる久高島がある。沖縄の人々は、水平線の彼方に楽土「ニライカナイ」があると信じてきた。久高島は、ニライカナイから最初に神が降り立ったと言われる島である。海を挟んで久高島をのぞむ本島の森に、かつて琉球随一の聖域とされ、王族しか立ち入ることを許されなかった斎場御嶽(せーふぁーうたき)がある。サンゴ由来の琉球石灰岩の巨岩と森が作る自然のままの空間。王が国政をつかさどるのに対し、王妃や王族の女性たちは神事を担っていた。王国の最高神女の就任儀式がここで行われ、儀式に使われた聖なる水は、今も絶えることなく鍾乳石から滴り続けている。

<担当ディレクター・天野裕士コメント>
沖縄は、「祈りの島」です。忘れがちな自然に対する感謝を、島の人たちの笑顔に長く見てきました。琉球、何故だかは分かりませんが、子どもの頃の浦島太郎の竜宮と重なって、いつも何かを教えてくれる大先輩、沖縄を描けて幸せです。

<プロデューサー・堤 慶太コメント>
今回の撮影は、コロナ禍による緊急事態宣言のため何度か中断を余儀なくされました。なんとか完成できたのは、沖縄のみなさんが撮影に協力してくださったからです。火災で焼失した首里城正殿の復元工事は、今年11月から始まる予定です。かつて撮影した正殿の映像を今回の放送でも使っていますが、沖縄のみなさんが大切にしてきた首里城が、一日も早くかつての姿を取り戻すよう願っています。

■番組概要
[タイトル]『世界遺産』
[放送日時]毎週日曜 午後6時~6時30分
[出演]ナレーション 杏
[『世界遺産』番組公式サイト]
[『世界遺産』公式YouTubeチャンネル]
https://www.youtube.com/channel/UCiBzP94GzT4C_aZ6-lw8zSA/featured?view_as=subscriber
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