「世田谷」デザインナンバー 全国最下位の普及率に区民や区長は…

「図柄入りご当地ナンバープレート」は2018年から交付されていて、全国58の地域で導入されています。この「図柄入りナンバープレート」の申し込み件数がわずか699件(2022年3月末時点の累計件数)で普及率が全国で最下位なのが、東京の「世田谷」ナンバーです。現状に、区民や区長はどう思っているのでしょうか。

世田谷区の図柄入りナンバープレートは、区の花「サギソウ」と「多摩川」を描いたものです。この世田谷の図柄入りナンバーについて、区民はどのように思っているのでしょうか。二子玉川駅前で話を聞いてみると「(このナンバーデザインは)知らない。どこのナンバーなの?」(50代男性)・「知らない。見たことがない。世田谷ナンバーなの?」(70代女性)など、区民からの知名度も高くなく、見慣れていない人も多いようです。また「私はいいと思う。ただ、コントラストがちょっと弱いかな」(80代男性)といった意見も聞かれました。

そもそも、図柄入りナンバープレートは「走る広告塔」として各地域の魅力を発信することを目的に国が導入したもので、現在は全国58地域に広がっています。普及率のトップは奈良県の5市町村が導入した朱雀がモチーフの「飛鳥」ナンバー(普及率=4.88%)、2位は山梨県の「富士山」ナンバー(3.05%)、3位は矢切の渡しなどが描かれた千葉県の「松戸」ナンバー(3.03%)で、それぞれの地域をイメージさせるデザインとなっています。一方、世田谷区のナンバープレートは交付開始からおよそ3年半で普及率は0.25%で「最下位」となっています(2022年3月末時点)。この結果について世田谷区の保坂展人区長は会見で「広報・告知の努力をもっとしなければいけないと思う。図柄入りナンバーの活用の仕方、今後どうするかを担当所管と一緒に、区民の声も聞きながら考えていきたい」と述べました。

世田谷区はコロナ前までは区民まつりでPRグッズを配るなど普及に努めていましたが、感染拡大でその活動もままならないのが現状です。

最下位脱出にはどうすればいいのか、区民の意見を聞きました。街では「住みよい街というのをナンバープレートで示すのは難しいですよね。ランドマークがあまりないので…。(世田谷といえば)ドラマの『ROOKIES』の舞台ぐらいしか思い付かない」(50代男性)、「路面電車みたいなのはあるけど。昔のことでしか想像つかない」」(50代男性)といった声が聞かれました。

<図柄入りナンバー 今後は?デザインを残すためには?>

住みよい街を絵柄にするという意見は、確かに難しい問題かもしれません。ただ、この「図柄入りご当地ナンバープレート」は、普及率が低過ぎるとなくなってしまうかもしれないのです。

国土交通省は2022年になって、地方版図柄入りナンバープレートについてに新たな制度を設けました。それは現在導入済みの地域について「2023年からの5年間でどうするか決める」ことになるというものです。まず、交付をこのまま続けるか、それとも「やめるか」、あるいは「図柄を変更する」ことを、各地域が任意で決定します。ただしその先、5年後も交付を継続するためには「普及率」または「直近1年間の申し込み件数」の基準をクリアしなければなりません。基準に満たない場合は図柄を変更するか、交付の終了を迫られます。

世田谷ナンバーの場合、5年後に普及率が0.7%以上、もしくは直近1年間で500件以上の申し込みが必要です。しかし世田谷ナンバーは交付開始から現在までのおよそ3年半の間で申し込み件数がわずか699件で、普及率は0.25%しかなく、今のデザインを使い続けるためには交付件数が増えないといけません。現状ではかなり厳しい基準です。

実は、図柄入りナンバープレートは導入している自治体にもメリットがあります。図柄入りナンバープレートにはカラー版とモノトーン版の2種類があって、カラー版の交付を受ける時には1000円以上の寄付金を支払うことになっています。各自治体はこの寄付金を交通安全や観光振興などの事業に役立てることができます。

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