西九州新幹線ダイヤ発表 沿線市は利便性納得 佐世保線、所要時間に不満も

西九州新幹線かもめ開業後のダイヤ

 西九州新幹線のダイヤが発表された10日、長崎県内の沿線市からはおおむね納得の声が上がった。一方、同日公表された博多-佐世保の在来線特急ダイヤには、高速化事業を実施したにもかかわらず所要時間が一部長くなるとして不満が漏れた。
 大石賢吾知事は、新幹線ダイヤについて「県内各駅への停車に配慮いただき、所要時間も短縮され、利便性の向上につながる」と歓迎のコメント。大村市の園田裕史市長は「全ての速達型が新大村に止まるわけではないのが残念だが、長崎市との通勤に使える始発や終電が独自に設定されたのはありがたい」として、通勤利用に配慮した低運賃の設定を望んだ。
 諫早-長崎などの特急料金は新幹線への移行後、引き上げられる。長崎市に車で通勤している大村市竹松本町の会社員、三浦和敬さん(49)は新幹線の速さを意識しながらも「(割引き)料金がどれくらいになるか…」と模様眺め。それでも「長崎市で働く息子が実家から通えるようになるかも」と期待を寄せた。
 島原半島への玄関口となる諫早駅には全てが停車する。諫早市の大久保潔重市長は「駅再開発ビルや交通広場などの整備効果が最大限に発揮できるダイヤ。地域の活性化につなげていく」とコメントした。雲仙市の観光団体、雲仙観光局の山下浩一代表理事は「諫早駅で降りてもらえるよう、雲仙、小浜温泉街などの魅力アップを急ぐ」と意気込んだ。
 長崎商工会議所新幹線整備活用特別委員会の中村重敏委員長は「沿線全体の経済効果を高め、一番の願いである全線フル規格化につなげていきたい」と先を見据えた。
 一方、博多-佐世保は「白いかもめ」の車両も導入し、所要時間が最大9分短縮される半面、一部で現行より遅い便が出る。有田-佐世保のレールや枕木を県費で改良し高速化を図ってきただけに、佐世保市の朝長則男市長は「高速化事業による時間短縮効果が感じられない」と不満を示した。昼間帯の平均短縮時間も小さいとして「佐世保線の輸送改善効果が上がったとは言い難い」と指摘。開業までに早急な改善を求めた。
 大石知事も佐世保線につては「全体として期待された効果が認められない点は不満を覚える。JR九州に説明を求め、改善策を検討してもらいたい」とした。


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