<金口木舌>科学の進歩と謎

 イギリスの新聞に1994年、ある告白が掲載された。スコットランドのネス湖で未確認生物のネッシーを撮影したとされる写真がうそだったという。水面から顔を出す巨大生物の首とされていたのは、おもちゃの潜水艦にくっつけた30センチの模型だった

▼エープリルフールのジョークのつもりが、世界的な話題になり引けなくなったという。ただネス湖では2005年に長さ約10センチの牙のようなものが見つかっており、ネッシーの存在を信じる人は多い

▼米下院で未確認飛行物体(UFO)に関する公聴会が約50年ぶりに開かれた。背景にロシアや中国による次世代技術開発への懸念があるという

▼科学で謎が解明されると他国の兵器だったという落ちならロマンがない。一方で宇宙航空研究開発機構などは、探査機はやぶさ2が小惑星りゅうぐうから回収した砂試料にアミノ酸を確認した

▼生命の起源が宇宙にあるとする説を後押しする画期的な成果に心が躍る。科学技術の進歩は戦争ではなく未知の領域を切り開くためにあるのだとつくづく思う。

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