NHK杯長崎県高校野球 海星対長崎商 12日決勝

9回裏海星2死、森が中越えにサヨナラ本塁打を放つ(左)、4回無失点と好投した長崎商の先発綾部(右)=県営ビッグNスタジアム

 第70回NHK杯県高校野球大会第4日は11日、長崎市の県営ビッグNスタジアムで準決勝が行われ、海星と長崎商が決勝に進んだ。
 海星は諫早農に1-0でサヨナラ勝ち。九回2死無走者から、4番森がバックスクリーンへ本塁打を放った。試合は海星の宮原、諫早農の浜崎による投手戦で1時間32分の引き締まった内容。互いに三塁まで進めないまま、一発で勝負が決まった。海星はこの勝利で夏の全国選手権長崎大会の第1シードを確定させた。
 長崎商は長崎西に7-0で七回コールド勝ちした。初回1死二、三塁から、内野ゴロの間に先制。三回に伊藤の中前適時打、六回に八百の左越え適時二塁打で1点ずつ加えると、七回には四死球を挟んで適時打を重ね、一挙4得点で試合の大勢を決めた。投げては綾部、橋本、野原、澤山と4人でつないで零封した。
 最終日は12日、ビッグNで3位決定戦(9時30分)と決勝(13時5分)を実施する。

◎長崎商、2年連続Vへ王手
 長崎地区第5代表の長崎商が、地区予選準々決勝で敗れた長崎西にコールドで雪辱し、2年連続優勝に王手をかけた。主将の澤山が「予選で負けてから気を引き締め直し、県大会では押していけている。チームとして上がってきている」と話すように、今年も夏を前に存在感を強めてきた。
 昨夏の甲子園16強を経てスタートした今季。昨秋、今春の県大会ともに8強と振るわなかったが、股張、小森、野原ら投打で有力な1年を迎えて活性化した。全国を経験した最上級生の澤山、大坪の二遊間と捕手伊藤のセンターラインを軸に、競争意識がチーム力を底上げし、この日は2年の橋本と八百も3安打ずつと各学年が躍動してみせた。
 エース綾部も4回無失点と好投。後輩が台頭する中で“つないで勝つ”投手陣の要になりつつある。決勝を前に、投手も兼ねる澤山は「相手が強いとかは意識せずに、自分たちの野球に集中して夏につなげる」と誓っていた。

◎海星、主砲森サヨナラ弾
 海星が劇的なサヨナラ勝ちで決勝へ進出。延長突入かと思われた九回2死無走者から、主砲森が一振りで試合を決めた。打のヒーローは「(投手の)宮原が粘っていたので何とかしたかった。率直にうれしい」と顔をほころばせた。
 1年秋から4番を任されるスラッガー。この日は諫早農の浜崎の投球術にはまり、ここまで無安打だった。「後につなぐ気持ち」で微妙に動く速球を中堅に打ち返すと、打球はぐんぐんと伸び、自身も「初めて」と言うバックスクリーンへの本塁打に。高校通算22本目のアーチはチームを救う一発になった。
 試合の流れをつくったのは先発の右腕宮原。諫早農に三塁を踏ませず、9回を投げ切った。4番とエースが役割を果たし、チームは勢いづいて決勝に臨む。昨秋に続く今季二つ目の県王座に向けて森は「しっかりと勝ち切り、夏前に勝負強さを身に付けたい」と気合を入れ直していた。


© 株式会社長崎新聞社