21年度保証承諾額 県内77%減 「ゼロゼロ融資」終了影響

 岡山県信用保証協会(岡山市北区野田)は、2021年度の信用保証状況をまとめた。企業が金融機関からお金を借りる際に同協会が債務を保証する保証承諾額は、808億3266万円で前年度比77.4%減。新型コロナウイルス禍を受け、政府が20年春に始めた実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」について、民間金融機関の受け付けが21年3月で終わったため、大幅に減少した。

 ゼロゼロ融資は、コロナ禍で打撃を受ける企業を支援するため、国が利子分を補てんし、3年間は無利子とする制度。各金融機関が積極的に活用したことで保証承諾額が増え、20年度は過去最高の3570億3千万円に上った。だが民間金融機関では、受け付け終了に伴い融資の実行も21年5月で終えたため、保証の機会が減少。月別の保証承諾額は4月を除くすべての月で前年同月を下回った。

 業種別の21年度保証承諾額は全業種で前年度を下回った。とりわけ、不動産業(前年度比87.0%減の10億6100万円)、飲食店(82.9%減の28億6千万円)、宿泊や医療福祉をはじめとするサービス業(77.1%減の121億5400万円)などの減少が目立つ。コロナ禍で家賃収入の低下や客足の落ち込みといった影響を受けた業種で、融資が激増した前年度の反動が表れた。

 保証承諾件数は73.0%減の6573件だった。

 企業に代わって同協会が金融機関に債務を立て替える代位弁済額は、一部の大口があり、29億8621万円と16.6%増えた。ただ、コロナ禍が本格化する前の19年度(42億5835万円)と比べると低水準。融資や補助金で手元資金が確保できていた企業の状況がうかがえる。

 保証債務残高(3月末)は4685億9334万円(0.4%減)でほぼ横ばい。ゼロゼロ融資の返済の動きはまだ鈍いが、無利子の期間が最大3年であることなどから23年春以降は大きく増える見込み。このため同協会は、保証を利用した企業に対し、経営状況のヒアリングをはじめ、中小企業診断士ら専門家を派遣して販路開拓や経費削減をサポートする事業に注力。「返済のピークは23年6~9月とみられる。経営体力をつけて備えてほしい」としている。

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 3月の保証動向は、保証承諾が513件で、金額は62億1570万円(前年同月比83.3%減)。同月の代位弁済は47件で、金額は5億3841万8千円(335.8%増)だった。

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