訓練状況や任務遂行への課題は? 「共同訓練 応用的段階に」連隊長 開1等陸佐 陸自水陸機動団第1水陸機動連隊

共同訓練について「より応用的なところもできるような段階に進みつつある」と語る開1等陸佐=陸自相浦駐屯地

 海上自衛隊の輸送艦で隊員や装備を運び展開するなど、これまで陸上自衛隊がノウハウとして持っていなかったものを構築してきた水陸機動団。主力の一つである第1水陸機動連隊を率いる開雅史1等陸佐に訓練の状況や任務遂行への課題などを聞いた。

 -機動団は「特定の島ではなく、日本のどこでも駆け付けられる態勢」だと聞いている。島によって海岸の形状が異なってくると思うがどういう対処になるのか。
 形状だけでなく海象、潮の流れや波の立ち方そして海底地形によっても条件は変わる。海岸部でも砂地もあれば岩場もある。(そうした点を踏まえ)アプローチの仕方を変えていく。泳ぐ、ボートを使う、人員を乗せる水陸両用車AAV7、ヘリコプター。条件によってどの手段を使うか。その融通性が無ければ作戦がうまくいかない。

 -つまり日本で可能な場所があれば、訓練をしておきたいと。
 国民の皆さまの理解が前提となることだが、想像以上に海流が強ければ隊員が流されたり危険が及ぶ要素があるのではないか。そうしたことを考えた時、不安感は常にある。実際に(訓練を)やったことがあるという事実などは体験、経験値として重要な要素。事前に1回でもやることができていれば、自信と作戦の安定性という意味で大きく違う。

 -米海兵隊との共同訓練を重ねる中で、内容は着々と「高度」「深化している」のか。
 まさに着々と進めているというところだ。米海兵隊から今まで教わってきたところを基軸に、肩を並べて一緒に作戦ができるようにするためノウハウなどを吸収しながらやってきたところだ。より難しく設定するということも狙いとして取り組んでいく。初期段階ではより基礎的な、より確実なところで実施していたものが、より応用的なところもできるような段階に進みつつある。

 -宇久島での訓練も住民の避難が終わった状態での想定だと理解している。実際の有事で住民避難が完了していない中での想定はあるのか。
 住民の方がもし離脱できていなかったり、予期をしない段階で島に敵が上陸してしまったりしたような時、われわれは助けに行く。だからこそ機動団という部隊を錬成するよう命じられている。したがってわれわれは確実に助けに行ける能力を保有しておくこと。それ自体が国民のために何ができるかという一つの要素だ。


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