学校外に居場所を 新大工町にフリースクール開設 不登校の子持つ親も支援

「学校以外の居場所にしたい」と語る郁美さん(右)と寛さん=長崎市新大工町、N-school

 この春、長崎市新大工町にオープンしたフリースクール「子育て支援教室mahana(マハナ)」。主宰するのは、5人の子どもを育てている的野郁美さん(42)=同市在住=。3男(14)の不登校をきっかけに、不登校の子どもたちの居場所をつくり、悩みを抱える親をサポートしようと自ら動き出した。
 郁美さんは夫の寛さん(52)との間に長男(21)、次男(18)、三男、四男(12)、長女(6)に恵まれた。子ども好きが高じて、約6年前、専業主婦から幼稚園教諭を志した。勤務先の幼稚園が学童保育クラブに改編され、クラブの指導員になった。
 2年前、三男が中学に入学して2カ月後、学校を休みがちに。登校を無理強いせず、三男のペースに合わせようと決めた。一方で、気がかりなことも。「親が働きに出ている日中、家で独りぼっちになる。学習が遅れがちになると、自信を失い、登校を気後れするかもしれない」。学校以外の居場所を探し歩いたが、なかなか見つからない。「理想の場所がないなら、自分でつくってしまおう」。いつしかフリースクールの開設を模索し始めた。
 教員や塾講師の経験がある寛さんが今年3月、オンライン学習を中心とした「次世代型個別指導塾 N-school」を新大工町に開設。郁美さんも同じ場所でフリースクールを始めることに決めた。
 学校以外の居場所で学習も交流もできる-。「mahana」とはハワイの言葉で「温かい、居心地がいい」という意味。好きな時間に来て、学習や受験勉強を望む人は寛さんの塾で学べる。町に出かけて地域の人と触れ合う機会も取り入れていく。
 不登校の子どもを持つ母親との茶話会(無料相談会)も開いている。「子どもが学校に行っていないと、後ろめたい気持ちになり、ママ友とも疎遠になりがち」。母親たちの悩みを語り合う場から始め、子どもたちの居場所へ育てていこうと考えている。
 フリースクールの利用料は、寛さんの塾の授業料と同じ。小中学生は週1~3回と通い放題、高校生は通い放題(定額)のコースを設けた。「どこで学んでもいい。いろいろな学び方が選べれば、不登校という言葉もなくなるはず」。郁美さんの夢は一歩を踏み出したばかりだ。


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