「やっと変わった」女性たちの勇気が実る 平等の時代に合った判断に評価 金武区杣山の入会権制限廃止

 【金武】最高裁まで争われた金武入会権者会(旧金武部落民会)の会員として、すべての女性が認められることになった。「杣山訴訟」として全国の注目を集めた関係者らは、男女平等の時代の流れに合った判断に一様に敬意を表した。原告を支えてきた女性らも「やっと変わった」と笑顔を見せた。

 原告を支えてきた町内の女性(61)は「本当にうれしい。やっと肩の荷が下りた感じだ」と声を弾ませた。原告らは2006年の判決当時70代だったため、現在は高齢となっている。「署名活動から頑張っていた女性たちの勇気が実った結果だ。今回決定した権利者会の男性たちにも感謝したい」と双方をたたえた。

 被告側の代表だった仲間清一さん(82)は「慣習は受け継いだものだから、それを守る立場だった。訴える女性たちの気持ちも理解できたし、最高裁の判決には従うという気持ちでやっていた」と振り返る。金武部落民会(当時)の会長を務め、資格を巡り時に激しい議論があった。「時代の流れで変わったこと。(自分としても)大賛成だ」と穏やかな表情を見せた。

 金武区の子孫ではあるが夫が町外出身であるため会員資格がなかった女性(71)は、会員である妹に届いた書面で今回の変更を確認した。「おかしな制度だと思っていたが、やっと変わったという感じ」と喜んだ。

 訴訟を見守ってきた女性史研究者の大城道子さんは「誰が世帯主であるかは家庭が決めるということになり、女性たちにとって前進となったことを喜びたい。そもそも世帯というものには、明治時代の慣習や男女差別が潜んでいる。個人が義務と責任を負う時代に、世帯とは何かを問うきっかけになった」と一定の評価をした。

 (増田健太)

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