発達障害、不登校に悩む保護者へ…福祉サービス計画書作りや関係機関とつなぐ福井のNPO

相談者の自宅で、悩みを聞き取り、対応策を提案する望月陽子さん=4月、福井県福井市

 障害のある人やその家族から相談を受け、福祉サービスの計画書を作り、関係機関とつなぐNPO法人Bumps(バンプス)=福井県福井市月見3丁目、望月陽子代表理事=が、設立から1年を迎えた。発達障害の子どもに関する相談が目立ち、不登校に悩む保護者も多い。望月さんは「子どもが不登校気味になったら、すぐに支援機関に連絡してほしい。小さなきっかけで学校に通えるようになるケースもある」と話す。

「勉強やろうよ」間違っていた

 「体の成長に対する不安がある。毛が生えてきたら抜くと言っている」「感情がうまくコントロールできない」

 発達障害の男子児童2人を持つ福井市の明子さん(仮名、40代)が、自宅を訪れた望月さんに相談する。望月さんは「(子どもが利用している)施設に、成長について利用者全体で話し合うような場をつくってもらえるか聞いてみますね」「自分の気持ちを整理するトレーニングもしてはどうでしょうか」

 男児2人のうち1人は、望月さんが病院の受診を勧めたこともあり、読み書きが苦手な学習障害と分かった。明子さんは「『勉強したくない』と言う子どもに『やろうよ』と言い続けてきたが、間違っていた。一緒に教科書を音読するようになった」と感謝する。

学校の担任らと話し合いも

 バンプスは5人の相談支援専門員が、子どもから大人まで約570人の相談に応じ、福祉サービスを紹介している。専門員として8年の経験がある望月さんは「近年は子どもの相談が増えている。発達障害のケースが多い」と話す。担当している177人(3月現在)のうち、18歳以下が146人を占める。

 電話で相談を受けると、その家を訪れ、家族や本人と面談する。学校で様子を観察したり、担任や子どもが利用している施設のスタッフ、保護者を交え話し合ったりするときもある。

 不登校気味だったある子どもは、45分の授業で黒板とノートを見る動作を400回繰り返していた。見たものを書く作業が苦手で、授業を理解していないことが分かった。対策として、黒板の内容を教員が撮影し、印刷したものを子どもに渡すようにした。

必死に学校へ連れて行くほど崩れる親子関係

 「子どもが死にたいと言って部屋にこもっている」といった電話もある。不登校の子どもの多くは、自己肯定感が低いという。

 子どもが不登校気味になると、多くの学校は「とにかく連れてきてください。その後は何とかします」と保護者に伝える。必死に学校へ連れて行くほど、親子関係は崩れていく。

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 バンプスでは、春休みや夏休みなどに、オンラインゲームの中で相談員と不登校の子どもたちのコミュニティーをつくり、ゲームを進めるなどの取り組みも行っている。望月さんは「ゲームは本人に価値を与えてくれる。不登校を否定せず、原因を見極めることが必要。医療、福祉、教育がつながることで、対応策が見えてくる」と指摘する。

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