絶叫…漆黒の闇を滑り降りる「ナイトジップ」体験してみた 福井県のツリーピクニックアドベンチャーいけだ

闇に吸い込まれるように滑り降りる参加者=福井県池田町志津原のツリーピクニックアドベンチャーいけだ

 福井県池田町志津原の体験施設「ツリーピクニックアドベンチャーいけだ(TPA)」で、尾根間に張ったワイヤを滑車で滑り降りるアクティビティ、メガジップラインを夜間に体験できる「ナイトジップ」が2年ぶりに営業を再開している。漆黒の闇の中を滑り降りるスリルとはどんなものか。絶叫マシン好きの記者が“夜の空中散歩”を体験した。

 メガジップラインは、山の尾根の間に延長約1キロのワイヤが張られ、最も高いところで地上60メートル。スタート地点から中間デッキまで480メートル、さらにゴールまで510メートルの2本を滑走する。長さは全国一という。

 昼間は雄大な風景を楽しめるが、ナイトジップは暗闇を滑空するのが売り。天気が良ければ満天の星空というおまけもつく。

 5月21日に一般客と一緒に参加した。日没後の午後7時半、ハーネスと呼ばれる安全ベルトやヘルメットを装着し、インストラクターが先頭と最後尾に付き、一列となってスタートタワーへ向かう。ライトで足元を照らしながら雑木林の階段を登っていると、コロコロとしたシカのふんが転がっていて、まさに山中にいることを実感した。

 高さ10メートルある白いタワーの頂上がスタート地点。階段を上る途中、隙間からうっすらと地面が見え、軽く身震いした。てっぺんに着くと、まずはインストラクターが滑走。後ろ姿が闇に吸い込まれ消えていった。

 いよいよ順番が来た。高所での足がすくむような感覚に「ああこの感じ!」とテンションは最高潮に。ハーネスに腰掛けるように体を預け暗闇に飛び込んだ。時速40~50キロで風を切って滑り降りていく。はるか下に広大な森や渓流があると思うと、闇の不気味さとあいまって鼓動が高まった。

 聞こえるのは滑車の「ビュー」という音と、自分の叫び声だけ。爽快な気分というより、圧倒的に恐怖感が勝って「早く着いて」と懇願する。約30秒後に中間デッキの豆粒のようなランタンの光が見えてホッとした。さらに20秒ほど滑って1本目を終えた。

 2本目は気持ちに余裕ができた。ゴールが見えても「もう少しこのままで」と思うほどだった。

 ナイトジップの実施日は決まっており、今後は7月9日、10月1日、10月15日に行う。午後6時からと、同7時半からの計2便ある。担当者は「時間帯によって見える景色は異なる。夜の自然をダイレクトに感じてほしい」と魅力を話す。予約はTPAのホームページから。

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