がんで亡くなった妻…執筆途中のものを、夫が継ぎ書籍完成

© 株式会社上毛新聞社

知人、友人から佐藤さんへの手紙などを収録した「縁」

 1月に亡くなった群馬県伊勢崎市の佐藤まゆみさん(当時64)が手がけていた著書「縁(えにし)」(上毛新聞社刊)が完成した。昨年10月に膵臓(すいぞう)がんが見つかり、余命3カ月と宣告されていた佐藤さん。当初は縁のあった100人への思いをつづる予定だったが、執筆途中で亡くなったため、夫の好彦さんが友人や知人ら約60人に「佐藤さんへの手紙」を依頼して仕上げた。

 同書は闘病中の昨年12月末、上毛新聞「ひろば」欄に掲載された投稿文などを中心に自費出版した「姫(ひめ)香(か)」に次ぐ2作目。同級生や仕事関係、ボランティア仲間らが佐藤さんとの思い出やエピソードをつづり、佐藤さんが書き残した10編ほどの原稿と共に収録している。

 前作の完成時に「ベッドの上でも夢はかなう」と喜んだ佐藤さん。今年3月の自身の誕生日までに「もう1冊作りたい」と年明けから精力的に執筆していたが、1月17日、志半ばで64年の生涯を閉じた。好彦さんは「余命宣告からちょうど3カ月だった。誕生日までは大丈夫と思っていたが…」と振り返る。

 妻の思いをどのように実現したらいいか、好彦さんは悩んだ末、知人や友人に寄稿を依頼することを思い立った。「告別式で多くの人に弔辞を読んでもらいたかったが、コロナ禍でかなわなかった。その分、手紙の中で気持ちをしたためてもらおうと思った」と理由を説明する。

 「縁」は80部制作し、寄稿者全員に配布した。「まゆみから託された気がして、何としてでも完成させたかった」と好彦さん。「それぞれが印象に残るまゆみについて書いてくれた。百日忌に墓前に報告できた」と安堵(あんど)している。