豪雨被災時慰問の音楽家2人再訪 矢掛・中川小でミニコンサート

児童らに音楽を届ける2人

 2018年7月の西日本豪雨で校舎や体育館が被災した岡山県矢掛町本堀、中川小の児童を、その年の10月に慰問して、音楽で励ました演奏家2人が10日、再び同町を訪れた。児童らとはビデオレターなどで交流を続けており、3年8カ月ぶりの再会。復興を遂げた校舎や体育館を感慨深そうに見学し、生演奏を届けた。

 2人は、NHK交響楽団(東京)のバイオリン次席奏者・白井篤さん(49)と、ドイツの音楽大大学院を首席で修了し関西を拠点に活動するピアニストの塩見亮(たすく)さん(45)。

 被災直後の10月、白井さんと親交のある地元住民がつないだ縁で、2人はミニコンサートを開き、校舎が床上浸水し近隣の小学校を借りていた児童を元気づけた。

 その後、2人と児童はビデオレターなどを送り合い親交を深めた。新型コロナウイルス禍で生演奏を聴く機会が減っていることもあり、地元の中川公民館などが今回の訪問を企画した。

 中川小体育館であったコンサートでは、白井さんが「学校がきれいになっていて安心した。いつか戻ってきたかった」とあいさつ。葉加瀬太郎さんの「情熱大陸」や校歌など8曲を塩見さんと演奏した。アンコールでは人気アニメの主題歌を奏で、会場の児童と保護者計約70人は手拍子をし盛り上がった。

 6年男子(11)は「4年前は教室が床上浸水し悲しかったけど、演奏を聴いて元気が出た。また来てくれて本当にうれしい」と喜んでいた。

 また体育館の床上浸水で壊れたため新調した“ピアノ開き”もあった。塩見さんが新しいピアノを弾き「上質な音が出る一台。たくさんの人に弾いてもらい、地域に明るさを響かせてほしい」と話した。

 この日の夜には同所で住民向けの演奏会も開き、約100人が聞き入った。

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